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EV時代「待った」トヨタの深謀 HV関連特許を無償公開、“世界の標準化”を図る (2/4ページ)

 日本国内ではHVが普及してきた。自動車検査登録情報協会によると、昨年3月末のHV保有台数は751万2846台(軽自動車を除く)で、乗用車に占める比率は19.0%。HVは5台に1台を占める「普通の車」に近づいてきた。

 そして今年4月、トヨタはHVに関する方針を大きく転換、特許の無償提供を打ち出した。元々、トヨタ幹部の間で技術の開放を訴える声は強かったが、検討していることを対外的に明らかにしていなかったため、驚きをもって受け止められた。

 開放されるのは、2万3740件の特許の実施権。モーターやPCU(パワー・コントロール・ユニット)、システム制御、エンジン、充電機器などが対象で、無償提供の期限は2030年末まで。トヨタに申し込み、具体的な実施条件などを協議の上、契約を締結する。有償の技術支援では、車両の電動化システム全体の調整に関する助言などを行う。

 トヨタの寺師茂樹副社長は4月3日、特許開放についての会見を名古屋市内で開いた。「われわれのふるさとである『ホームプラネット』(地球)という概念を持ち、二酸化炭素(CO2)排出量を抑制するには、エコカーの普及拡大が必要だ」と、環境への貢献を前面に押し出した。

 会見での記者の関心は、今回の方針がトヨタのエコカー戦略においてどういう意味を持つかだ。質疑でその一端が明らかにされた。

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