5月の爽やかな季節、新緑の中をドライブに出かけるという人も多いのではないか。最近では、中高年がオートバイでツーリングを楽しんでいる姿もよく見かける。今回の「これは優れモノ」は安定感のある三輪スクーターを取材した。
ユーザーの高齢化が課題
「若者にオートバイの楽しさを知ってほしい」と話すのは、ヤマハ発動機販売営業統括部の早田(そうだ)和正さん(56)。オートバイ好きが高じてヤマハ発に入社した、ライダー歴30年以上の営業マンだ。
早田さんによると、ヤマハ発の新車オートバイ購入者は40代が中心という。実際、日本自動車工業会の2017年度調査でも、二輪車ユーザーの平均年齢は52.7歳という結果が出ている。10年前の07年度調査では、45.8歳だったことから、ユーザーの高齢化が続き、若者のオートバイ離れが顕著になっていることを証明している。
「オートバイはおじさんの乗り物と一部で揶揄(やゆ)されている」と、早田さんは残念がる。
ヤマハ発動機の前身で、ピアノをはじめとした楽器製造を行っていた日本楽器製造(現ヤマハ)が、オートバイ製造に乗り出したのは1953年のこと。朝鮮戦争の特需景気でオートバイメーカーが乱立する中で、最後発の参入だった。
55年に同社第1号となる空冷2ストローク125ccの「YA-1」が誕生、黎明(れいめい)期の日本のモーターレース界で数々の勝利を飾った。その後も国内外のオートバイレースにワークスチームとして参加し、スポーツオートバイメーカーとしてヤマハ発の名前は世界に広がっていく。
さらに、同社はオートバイの世界にとどまらず、モーターボート、スノーモービル、電動アシスト自転車、自動車のエンジン製造など事業分野を広げている。
77年、日本のスクーターブームの火付け役となった「パッソル(Passol)」を発売する。イメージキャラクターに当時46歳だった女優の八千草薫さんを起用、スカート姿でまたがらずに、両足をそろえて乗れるとして、女性にも大人気のモデルとなった。
デザイン性にこだわり、エンジンの周りをカバーで覆うことで服の汚れを防いだり、自転車と同じように、ハンドルに前後輪のブレーキを設けたりなどさまざまな工夫を施した。