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「単機能電子レンジ」が売れている IoT化進む高価格帯に逆行 (1/2ページ)

 IoT(モノのインターネット)技術などを駆使した高機能の「オーブンレンジ」の開発競争が続く中、電子レンジ市場では、むしろ温めや解凍に機能を絞って価格を下げた「単機能レンジ」の需要が伸びている。価格が1万円を切る製品もあり、高機能製品をかえって使いづらいと考える顧客層に人気があるという。需要動向に合わせ、大手メーカーではオーブンでなくレンジ機能を強化する動きも出てきた。

「単機能」二桁の伸び率

 「高齢世帯や単身世帯を中心に、基本性能がシンプルで使い方に迷わない単機能レンジのニーズが高まっている」。約50機種を扱うヨドバシカメラマルチメディア梅田店(大阪市北区)の電子レンジ売り場で、男性店員はこう話した。

 同店では、電子レンジ全体の販売個数の4割を単機能レンジ(約10種類)が占め、価格が10万円を超える高級オーブンレンジ(約20種類)の倍以上に上っている。最近は全国どこでも使える「ヘルツフリー」機能など、3万~4万円台の普及価格帯のオーブンレンジに備わった機能を付加した単機能レンジも増えており、特に春の新生活シーズンの販売が好調だという。

 日本電機工業会の統計では、単機能レンジの国内出荷台数はここ数年、前年比11~32%増と二桁成長が続いている。

 一方、オーブンレンジは、大手各社がインターネット上のクラウドサーバーと連携させるなどの最新技術を盛り込んだ高級機種に力を入れているものの、出荷台数が前年割れを起こすなど伸び悩みが顕著だ。

 冷凍食品やコンビニ弁当で手軽に食事を済ませる人が増え、オーブンを使って調理する機会が減っているためとみられる。

 コンビニ各社は、レンジで温めればすぐに食べられる総菜を充実させており、高齢、単身世帯のほか、子育て中の多忙な共働き世帯にも支持されているようだ。

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