金融

地域金融、成果主義で歪み 行き詰まったビジネスモデル、どう描き直すか (2/3ページ)

 当の落合氏は会見を欠席し、反社会的勢力との関係などについて自ら説明することはなかった。同様にシェアハウス投資向け融資をめぐり審査書類の改竄に手を染めたスルガ銀も、30年以上君臨した岡野光喜前会長が昨年9月の辞任以降、公の場に姿を現していない。

 業界屈指の高収益を誇る西武信金やスルガ銀が「優等生」ともてはやされたのは、地域金融機関に創意工夫で新たなビジネスモデルを作り出すよう促した森氏がそのモデルケースと位置づけたからでもある。業界の寵児(ちょうじ)になった2人の経営者は、くしくも昨年7月の森氏退任後に相次いで凋落(ちょうらく)した。

 融資偏重の裏側で

 両金融機関に共通するのは、トップの旗振りのもとで融資額の伸長にひた走った前のめりな経営姿勢だ。

 低金利の長期化で収益の根幹である利ざや(貸出金利と預金金利の差)が縮小し業界全体が収益力低下にあえぐ中、外国人や独身女性向けなど、他の金融機関が貸し倒れリスクを恐れて断るような案件も積極的に引き受け、業績を伸ばした。

 しかし好業績には裏面があった。「数字ができないなら、ビルから飛び降りろ」「お前の家族を皆殺しにしてやる」-。スルガ銀の第三者委員会がまとめた報告書では、現場に苛烈なノルマが課され、パワハラが横行した様子が描写されている。

 追い詰められた行員は物件を売りたい不動産業者と買いたい客を自らつなぎ、「業者とずぶずぶの関係」(関係者)になることで不正に手を染めていった。果てはデート商法詐欺まがいの融資まで発覚し、スルガ銀の有国三知男社長は「営業成績を重視し、感覚がマヒしていた」と釈明する。

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