鉄道業界インサイド

トイレ設置、着席機会増加も… JR中央線グリーン車導入に潜むリスク (3/3ページ)

枝久保達也
枝久保達也

 グリーン車の導入によって中央線の着席サービスは劇的に拡大することになる。現在朝ラッシュ時間帯は特急「おうめ」「はちおうじ」合計3本の通勤向け特急が運行されているが、全ての列車にグリーン車が設置されることで、時間帯、座席数の両面で着席機会が格段に増加する。

 中央快速線の朝ラッシュピーク時間帯の平均混雑率は184%(2017年度)、輸送力4万4400人(定員1480人の列車が1時間に30本運行)に対して8万1560人が乗車していることを意味する。2階建てグリーン車の定員は2両で約180名だから、その分を普通車から差し引けば混雑率は約170%に低下する計算だ。遅延と混雑は相互に影響する関係にあるので、計算上は混雑率が低下すれば遅延の発生も減るはずである。

 ただ新規にグリーン車を導入した路線では、ホームのグリーン車停車位置で待っていた乗客があわてて前後の普通車に移動するため、特定の車両に混雑が集中する現象もみられる。ダイヤに余裕がない中央線では、乗降に時間がかかって停車時間が長引くボトルネック駅がひとつでもできてしまうと、遅延と混雑が悪化することにもなりかねないという懸念がある。グリーン車と普通車、両方の利用者の満足度向上につなげられるかは、利用者への周知と案内要員の配置など、JR東日本の事前準備にかかっていると言えるだろう。

枝久保達也(えだくぼ・たつや)
枝久保達也(えだくぼ・たつや) 鉄道ライター
都市交通史研究家
1982年11月、上越新幹線より数日早く鉄道のまち大宮市に生まれるが、幼少期は鉄道には全く興味を示さなかった。2006年に東京メトロに入社し、広報・マーケティング・コミュニケーション業務を担当。2017年に独立して、現在は鉄道ライター・都市交通史研究家として活動している。専門は地下鉄を中心とした東京の都市交通の成り立ち。

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