あくまでレスポンス対策だから、最初の「ひとふき」を終えたら任務完了。その後の長い加速は、ターボチャージャーならではの力強いトルクにすべてを任せるという連携だ。
D5に搭載されるディーゼルエンジンは、直列4気筒である。排気量は驚くなかれ、2リッターでしかない。これで約2.5トンにも達するボディを走らせるには頼りなく映る。それをターボチャージャーが補い、ターボチャージャーの欠点をパワーパルスが補っているというわけだ。
「パワーパルス」作動条件はこうだ。
- アクセル開度36%
- アクセルの踏み込みの速さが100%/sec
- ギアは1速か2速時のみ
- エンジン回転は2000rpm以下
つまり、低速走行中の比較的強い加速のときのみに「パワーパルス」が作動する。信号が青に変わり慌てて発進する場合や、トロトロ流れるような緩い渋滞時に突然前が開けたといった場面で頼りになる。
これによって、アクセルペダルを踏み込んでから1秒後に、出力が2倍になるイメージである。アクセルを踏み込んでいるのにノロノロし、イライラの後にドカンとくるような、荒々しい特性ではなくなった。発進加速が上質になったと思える。
XC90は3列シートゆえに、約2.5トンというボディはけして軽い数字ではない。だというのに、力不足を感じることはなかった。これならば、ダウンサイジングターボも悪くはないと思えた。
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。