中小企業へのエール

仏不動産制度「ビアジェ」 高齢化社会を豊かに生き抜く方法 (1/2ページ)

 仕事の関係でフランスに縁があり年に数回行っている。パリでよく見かけるのは、80歳を超えているとおぼしき女性が、ハイヒールに真っ赤なジャケットを着てお化粧をして、時には愛犬を連れ街中を優雅に散歩している様子だ。いくら年金制度が充実している国とはいえ、物価の高いパリでなぜ豊かな生活が維持できているのか不思議だ。ある時、理由の一つをフランス人の友人に教えてもらった。それは、VIAGER(ビアジェ)という特殊な不動産売買制度で、その歴史は古代ローマ時代から続いている。(旭川大学客員教授・増山壽一)

 この制度は、老齢した夫婦または死別した高齢者が、住居を売りに出す際、住み慣れた家に終生住み続けるという希望をかなえる契約で、引き渡し時期を自らの死亡時または志望の時としている。

 売却価格は当然安くなる。しかし所有権は既に買い主にあるので、家賃を支払うことなく維持費一切は買い主負担となる。売却価格の目安は、国が発表する男女の平均寿命を基に平均生存期間を計算する。さらに売り主の希望により、売却価格を安く設定し、その差額を毎月年金のように受け取れる契約にすることもできる。

 日本でも「リバースモーゲージ」という似た制度があるが、これは売り主が自宅を担保にお金を借り、死亡時に担保となる不動産による一括返済を前提にしている融資制度である。

 ビアジェは買い主と売り主のどちらが有利かは、何歳まで生きるかで決まるギャンブル的な要素がある。しかし、これを不謹慎とみる風潮はない。

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