中小企業へのエール

仏不動産制度「ビアジェ」 高齢化社会を豊かに生き抜く方法 (2/2ページ)

 実際、自宅を担保にお金を借り、いつまで生きるかわからない不安をもち続け、節約しながら生きていくのと、スパッと売却し全て経費は買い主に負担をさせ、一時金と毎月一定額を受け取り優雅に過ごす制度とどちらが社会にプラスだろうか。

 パリの不動産のように古いアパートでも価値が下がらない、むしろ価値が上がる。そして、通常よりも低額で取得できる可能性があり将来の投資用に購入したい者がいるという前提の上に成り立ってはいるが、日本の不動産も今後は同じ方向に向かっていくだろう。

 受け継ぐ子供がいない、子供に相続させる必要のない不動産を持つ老齢家族が、今後の日本でも増えていくことを考えると、このフランスの制度をぜひ日本にも導入したいものだ。不動産市場は活性化し、高齢者も豊かになるのではないか。

【プロフィル】増山壽一

 ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。旭川大客員教授。京都先端科学大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。環境省特別参与。56歳。著書に「AI(愛)ある自頭を持つ!」(産経新聞出版)など。

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