この現象を読み解く一つが6月18日のEC(電子商取引)商戦「618」である。今年の商戦終了後の速報を見てみると、6月1日から18日のネット通販大手、京東集団(JDドットコム)のオーダー金額は2015億元(約3兆225億円)と前年同期比26%強の伸び。全てのプラットフォームを合わせた総額も3180億7500万元と11.8%増となっていた。
その商戦後の国内の報道やシンクタンクの調査リポートに現れたのが「下沈市場が盛況」という言葉。下沈市場とはいわゆる地方市場のことだ。社会消費品小売総額も北京では毎年5~6%、上海でも毎年7~8%の伸びだが、下沈市場よりも若干上に位置する四川省成都市や湖南省長沙市では、毎年10%を超える伸びを見せているのである。
アリババグループの19年アニュアルリポートを見ると、同社運営のECサイト・タオバオでは18年4月から19年3月までの1年間で1億人もの新規ユーザーを獲得しているが、その77%が下沈市場、すなわち3線都市以下の住民なのである。
しかし戦略的に中国地方都市開拓に動く日本の企業は、決して多くない。もちろん今後、新たな変化が生まれるかもしれない。
しかし、気を付けなくてはいけないのは、国土も人口も日本の10倍の規模を持つ「中国の経済」の実態を正しくつかむためには、見る者がその視野を、日本を見るときの10倍にまで広げる必要があるということであると思う。
◇
【プロフィル】森下智史
もりした・さとし 中国トレンドExpress編集長。1998年2月から2015年5月までの17年間、中国・上海に滞在。上海では在留邦人向けのフリーペーパーの編集・ライター、産業調査などに従事。帰国後の18年1月に日中間の越境EC支援会社トレンドExpressに入社し、現職。