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日本経済、20年後半に正念場 東京五輪後需要落ち込み (1/2ページ)

 東京五輪・パラリンピックの開催まで1年を切った。日本経済は五輪開催が決定した2013年以降、訪日外国人観光客による消費拡大や五輪関連の建設投資により大きく押し上げられてきた。しかし、終了後は需要の落ち込みが見込まれ、20年後半には正念場を迎えそうだ。

 訪日外国人旅行者数(日本政府観光局調べ)は、13年の1036万人から18年には3119万人と5年間で3倍となり、訪日外国人の消費額(観光庁調べ)も1.4兆円から4.5兆円へ拡大した。

 また、安倍政権の経済政策アベノミクスの開始以降、設備投資は堅調に推移。五輪関連施設の整備に加え、インバウンド需要拡大を受けたホテルの新築・増改築、都心再開発などの建設投資が特に好調である。

 筆者は、14年から20年までの7年間で実質国内総生産(GDP)は約10兆円、実質GDP成長率は年平均で0.2%押し上げられると試算している。言うまでもなく、経済が発展途上の段階にあった前回の東京五輪に比べれば押し上げ幅は小さいが、潜在成長率が1%程度とされる現在の日本経済にとっては無視できない大きさだ。

 このように、日本経済は五輪関連需要によって押し上げられているが、ピークアウトの時期が近づいてきたことも事実だろう。五輪開催期間中は直接的な観戦需要や関連グッズの売り上げなどは拡大するものの、建設投資関連の需要は開催前に出尽くしてしまうからだ。五輪関連の押し上げ効果がなくなり始める時期については見方が分かれているが、少なくとも五輪終了後に需要が落ちることは間違いない。

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