前回の東京五輪を振り返ると、開催年の1964年の実質GDPは前年比11.2%増の高成長となったが、65年には5.7%増へと急減速し、五輪が開催された64年10月をピークに「証券不況」と呼ばれる景気後退に陥った。
このような傾向は海外でも見られる。過去の夏季五輪開催国において、開催前後の四半期ごとの実質GDP成長率(64年の東京から2016年のリオデジャネイロまでの平均)をみると、成長率のピークは開催2四半期前で、その後1年間は伸び率が低下している。需要項目別には、公共・民間投資の総額である総固定資本形成は開催3四半期前、個人消費は開催2四半期前をピークに伸び率が低下する傾向がある。
東京五輪・パラリンピックは20年の7月から9月にかけて開催される。過去の平均的な傾向を機械的に当てはめると、成長率のピークは20年1~3月期となる。もちろん、実際の経済は五輪以外の要因にも左右されるが、19年10月からの消費増税対策の中には期限付きのものが含まれていることには注意が必要だ。
例えば、キャッシュレス決済へのポイント還元は五輪開催直前の20年6月が期限となっている。五輪関連需要がなくなることによって景気が一定程度減速するのは避けられないが、消費税対策の効果一巡が五輪終了と重なることで景気の落ち込みが増幅されるリスクがある。
19年度予算では消費税率引き上げへの対応に重点が置かれたが、これから編成作業が始まる20年度予算では、東京五輪後の景気下支えが重要なテーマとなりそうだ。
【プロフィル】斎藤太郎
さいとう・たろう ニッセイ基礎研究所主席研究員。1967年生まれ、千葉県出身。92年京都大教育学部卒、日本生命保険入社。96年ニッセイ基礎研究所、2019年現職。