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巨大施設、建設前に利活用計画を問え 自治体と民間の差 (2/2ページ)

 自治体と民間の差

 プロスポーツでは、最近、民間資金による大規模スポーツ施設の整備計画が具体化している。公共施設としてのスポーツ施設にはない多様な機能を持つ整備計画である。自治体と民間企業によるスポーツ施設整備計画の最大の違いは、事業としての計画性であり、その計画に必要なパートナーの参画のさせ方にある。建てて終わりではなく、建ててからどう使うか、生かしていくか、という発想だ。

 沖縄県沖縄市で建設が進む沖縄アリーナは、Bリーグクラブのホームアリーナになるだけではなく、1万人の収容能力を生かした利活用を建築段階から用意周到に考えていることが、この度発表された運営体制から読み解くことができる。プロクラブである琉球ゴールデンキングスのほか、ソニー・ミュージックエンタテインメント、エイベックスなど音楽業界、さらにはスポーツビジネスにたけた電通が加わった。単に施設の維持管理に重きを置くのではなく、利活用を推進していくためのリソースやノウハウを備えることに重点を置いている。

 87件の大半を占める公共事業に巨額な建設費を投入する自治体は、中長期にわたる事業計画を具体性をもって建築設計以前に立ててほしい。

 そのために最適な運営体制をどう図るべきか、施設に対するニーズの変化への対応をいかに図るべきか、そもそも何を目的として計画は具体化されようとしているのか。87件全ての整備計画において広くオープンに事業の魅力が発信されていくことを望む。

【プロフィル】今昌司

 こん・まさし 専修大法卒。広告会社各社で営業やスポーツ事業を担当。伊藤忠商事、ナイキジャパンを経て、2002年からフリーランスで国際スポーツ大会の運営計画設計、運営実務のほか、スポーツマーケティング企画業に従事。16年から亜細亜大経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師も務める。

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