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働くママの早期復帰を支援、「搾乳室」設置オフィス拡大 (2/2ページ)

 搾乳器などを販売するメデラ(東京都)が実施した調査では、産後1年半未満で復職した515人のうち、職場での搾乳経験がある人は15%で、場所(複数回答)は「トイレ」が58%で最多、「搾乳室」は5%にとどまった。「搾った母乳を保存したい」人は半数を超えたが、多くがトイレで捨てざるを得ない実態が浮かび上がった。

 米では義務付け

 日本助産師会の稲田千晴助産師(看護学)によると、母乳には子供の病気のリスクを抑えるなどの効果があり、世界保健機関(WHO)は与える年齢を2歳かそれ以上までと推奨する。

 母体にとっても、長時間母乳を出さないと乳房が張り、乳腺炎の要因になったり、手術が必要になったりする場合がある。出さないと母乳がつくられにくくなることも分かっており、米国では、授乳や搾乳のための時間やスペースを確保することは一定の規模以上の企業に義務付けられている。

 日本でも、搾乳への理解は少しずつ広がってきた。ネット通販大手アマゾンジャパンが昨年9月、都内の新オフィスに搾乳室を設置。百五銀行(津市)も15年、本店などに搾乳・授乳に使える小部屋や鍵付き冷蔵庫などのある保健室を設けた。

 稲田助産師は「母乳育児を支えることは、子供の病気による親の欠勤を減らし、有能な人材を確保することにもつながるはず。仕事のために母乳を諦める選択が減ってほしい」と話した。

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