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プラ業界、海洋ごみゼロへ加速 新組織設立など連携 日本の技術力発信も (2/2ページ)

 昨年9月、日本化学工業協会、日本プラスチック工業連盟、プラスチック循環利用協会、石油化学工業協会、塩ビ工業・環境協会の化学業界5団体が「海洋プラスチック問題対応協議会」を発足。焼却時の熱を利用する「サーマルリサイクル(熱回収)」の有用性を評価する科学的知見の蓄積や、使用済みプラスチックの河川への放出などで課題の多いアジア新興国での啓発活動を進めている。

 化学業界が率先して取り組むことで「プラスチック=環境に悪影響」との印象を拭い、日本の回収システムやリサイクル技術の強みを世界にアピールする狙いもあるようだ。

 一方、三菱ケミカルホールディングス、住友化学、三井化学の国内化学大手3社は、1月に立ち上げられた国際的な連携組織「廃棄プラスチックを無くす国際アライアンス(AEPW)」の創設メンバーとして参画した。

 官民で取り組み促進

 日本政府の取り組みも本格化している。プラスチック製品の持続可能な使用や代替素材の開発・導入を推進する「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」を今年初めに設立。8月9日時点で250社・団体が加盟している。

 6月に大阪市で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、海洋プラごみによる新たな汚染を50年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が合意された。

 ただ、このビジョンには「米国や中国に配慮し、目標が低く設定された」などの批判もある。G20サミットの議長国を務めた日本は今後、ビジョンの具体的推進へ、官民でより強力な取り組みが求められている。(田村慶子)

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