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関空25年、国際ハブ化道半ば 訪日客増追い風も“関西圏三位一体”進まず (3/3ページ)

 パイ奪い合いの発想

 関西圏の訪日客を関空だけで受け入れている現状を見直し、大阪(伊丹)、神戸を加えた3空港一体で拠点空港としての地位を高めたいとの構想もあるが、動きは鈍い。3空港の在り方を官民で議論する「関西3空港懇談会」は今年5月、神戸空港の国際化を25年ごろまでの検討課題とし、大阪空港の国際便就航の議論は当面見送ることを決めた。

 大阪府南部の自治体は関空の利用客を奪われることを心配し、大阪空港周辺自治体は騒音問題を懸念しているためだ。財界関係者は「気付いたら他地域の空港に大きく差をつけられていたとなれば、元も子もない」と不安を口にした。3空港に詳しい関西学院大の野村宗訓教授(公益企業論)は「(利害関係者が)パイの奪い合いの発想から抜け出せていない。それぞれの特性を活用できないまま、他の国際ハブ空港を利する形になっている」と指摘。3空港を運営する関西エアの山谷佳之社長は「3つの空港が近距離にそろっているのが関西の強み。特徴を伸ばし、全体として成長させていきたい」としている。

【用語解説】国際ハブ空港

 国際航空路線網の中で、乗り継ぎの拠点となる空港。旅客や物流の活性化で大きな経済効果が見込める。多くの航空会社が使うための複数滑走路の整備や、航空会社が支払う着陸料の安さなどが必要とされる。アジアではシンガポールのチャンギ国際空港や韓国の仁川空港が知られ、国内では国際線発着枠を拡大した羽田空港でハブ(拠点)機能強化が進むほか、中部国際空港(愛知県常滑市)や福岡空港(福岡市)でも滑走路増設の動きが広がっている。

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