デンソーウェーブ主席技師・原昌宏さんに聞く
--「QRコード」を開発した。その背景は
「大量生産が主だったバブル景気が終わると、多品種少量生産の時代になり、工場できめ細かい生産管理が必要になった。バーコードは情報量が少なく、(1つの部品のまとまりに)10個くらい使わなければならず、生産効率が落ちた。このため容量が大きく、1回で多くの情報を読み取れるコードをつくろうとした」
--開発の苦労は
「どのような形状なら多くの情報量を入れられるか、といろいろ悩んだが、趣味で指している囲碁(の碁盤)がヒントになった。格子状にして、4隅のうち3カ所に四角形の『切り出しシンボル』を配置。これは文字と区別しやすい工夫をしているため、コードがどこにあるかすぐに分かり、高速で読み取ることができる。シミュレーションに使ったパソコンのハードディスクドライブが夏場に何度も壊れたのには困ったが、1994年に開発は成功した」
--その後、QRコードは世界で大きく広がった
「大容量の情報が表現できるだけでなく、汚れや破損に強くデータの復元が可能だという特長がある。2002年頃、QRコードを読み取ることができる携帯電話が登場。今では(スマートフォンで)誰もが読み取れるため、電子チケットやキャッシュレス決済など、幅広く使われるようになった」