ただ、17年には愛媛銀行で数億円規模の資金洗浄と疑われる海外送金を見逃したとされる事件も起きるなど、対策が手薄な中小地銀が狙い撃ちされる状況は続いている。超低金利下で経営難の地銀が増える中、「対策を熟知した人材を確保できておらず、システム面でも不安が残る」(地銀関係者)のが実態だ。
今回のFATF審査に対しても「できる対策とできない対策を明確に分け、いつまでに対応するか説明できれば一定の評価は得られる。百点満点を取ろうとしない」(同)対応で臨む地銀が大半とみられる。
とはいえ、1社でも不十分の烙印(らくいん)を押されれば、国内金融機関の評価は再び下がりかねない。そうなれば邦銀の国際取引が制約を受け、海外決済や送金にも影響する恐れがある。