あおり運転しそうな社員を見分けるコツは2つある。一つは、ふとした拍子に出てくる普段とは違う言動に注意すること。「あれ、今日はいつもと違って荒れているな」というときには、隠れた本性が表れていたりする。Aさんのように、普段は穏やかな人が激しく他人をこき下ろすことがあれば、根底にある本来の性格が顔を出したと考えてよいだろう。
もう一つは、お酒の席での様子を観察すること。お酒が入ることで普段のおとなしい性格が荒々しいキャラクターに変わる人も、アルコールがトリガーとなって本来の性格が出てきたと捉えた方がよいだろう。このような人に共通するのは、豹変後に感情をコントロールできなくなり、周りが見えなくなることである。
企業のリスクマネジメントとして、あおり運転を防止するには、性格テストや感情コントロール研修を取り入れるのも効果があるだろう。しかし、まずはあおり運転予備軍を見分けることである。
【プロフィル】舟木彩乃(ふなき・あやの) ストレス・マネジメント研究者。メンタルシンクタンク副社長。筑波大大学院ヒューマン・ケア科学専攻(博士課程)に在籍中。著書に『「首尾一貫感覚」で心を強くする』(小学館)がある。千葉県出身。