求められる強力なリーダー
従来の日本型リーダーはコンセンサス重視、調整重視でボトムアップ型、漸進改良型の人物がどうしても多かった。しかし、今は危機の時代であり、不連続で不確実な変化の時代。中西さんのように実体験に裏打ちされた明確なビジョンを持ち、トップ主導で本質的な大変革を強力かつ迅速に断行していくリーダーが企業にも経済界にも必要な時代である。
世界経済も政治も大きな曲がり角を迎え、不確実性と変化のダイナミズムはますます大きくなっている。日本の経済と企業がかつての輝きを取り戻すために残された時間はさらに短くなっているといえよう。変革する大企業と本格派ベンチャーが、互いにダイナミックな新陳代謝を加速し、古く画一的なものを淘汰(とうた)してグローバルに通用する色とりどりの新しい芽がどんどん育ち、企業も個人も多様な個性が輝く、そんな活力ある経済エコシステムを一刻も早く再構築しなくてはならない。
この時期に中西会長がまさにタフなリーダーとして復帰されたことにこの上ない喜びを感じるとともに、皆で力を合わせ、痛みや恨みを受けることにも腹をくくり、令和にふさわしい新時代の創生を加速していきたい。
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【プロフィル】冨山和彦
とやま・かずひこ 東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)修了。1985年ボストンコンサルティンググループ入社、産業再生機構代表取締役専務(COO)などを経て2007年経営共創基盤(IGPI)設立。パナソニック社外取締役、東京電力ホールディングス社外取締役。59歳。和歌山県出身。