一方、EV導入に熱心なカリフォルニア州は、ホンダ、フォード、BMW、フォルクスワーゲンとの間で、26年の排ガス規制値である1ガロン当たり50マイルを自主目標とすることで合意した。4社は不透明な状況は望ましくないと考え、トランプ政権よりも厳しい規制値に合意したと報じられている。
EUでは、30年までの排ガス規制値が決まっている。乗用車のCO2排出量の目標値は、21年の1キロメートル当たり95グラムから、25年には81グラム、30年には59グラムに強化される。主要メーカーは、30年の規制値達成に向けてEV導入目標も定められており、フランス、英国などが内燃機関の自動車の将来の販売禁止を決めている。
EVが新車販売の46%に達するノルウェーの1人当たりGDPは7万3200ユーロだが、EVシェアが0.2%とEU加盟国中もっとも低いポーランドの1人当たりGDPは1万2900ユーロだ。欧州自動車工業会によると、1人当たりGDPが2万9000ユーロ以下の国のEVシェアは1%に届かないが、3万5000ユーロ以上の国は3.5%以上ある。低所得国でEV導入が進んでいない。
EVの導入が進まないのは、所得以外にも理由がある。一つは充電設備の整備状況だが、さらに大きな問題は補助金制度だ。欧州の西側諸国でEV導入が進んでいる国は、購入補助金も充実している。補助金がない国でも税額控除制度などを導入しているが、EVに対する補助制度が整備されていないポーランド、リトアニア、エストニアではEVシェアは0.5%に届いていない。EU内でEVの販売台数を大きく伸ばすには、購入支援策なども必要になってくる。
中国、米国、EUともEV導入を進めるには解決すべき課題があり、導入が一直線に進むとは思えない。自動車メーカーも市場の状況をみながら、内燃機関の改良を行うのか、EVや燃料電池車に一層力を入れるのか、難しい判断を当面迫られることになりそうだ。
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【プロフィル】山本隆三
やまもと・りゅうぞう 常葉大学経営学部教授。京大卒業後、住友商事に入社。地球環境部長などを経て、2008年プール学院大学国際文化学部教授、10年から現職。財務省財務総合政策研究所「環境問題と経済・財政の対応に関する研究会」、経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。現在、国際環境経済研究所所長、NEDO技術委員などを務める。著書に『経済学は温暖化を解決できるか』(平凡社)、『夢で語るな日本のエネルギー』(マネジメント社)など。