高論卓説

計画実行力は反復演習で磨け 本発行に2年半もかかった経験から考える (2/2ページ)

 この問題を、日本と中国のビジネス慣習の違いと一刀両断することはたやすいが、個人のレベルにまで分解していくと、私には計画実行力の度を越した欠落の問題だと思えてならない。自分が立てた計画を実行できるかどうかのスキルレベルが高いか低いかの問題だ。

 この計画実行力、自分は大丈夫だと高をくくっている人もいるかもしれないが、実は日本においても、ここまでのレベルではないかもしれないが、無視できない頻度で、計画実行力が発揮されない場面がある。

 それが、業績見込みの修正だ。記者会見される業績見込みの下方修正だけではない。日々のビジネス活動の中で、週、単位、3カ月などさまざまな単位で業績見込みを立てているが、その実績との差が大きければ大きいほど、計画実行力は低く、小さければ計画実行力は高いといえる。

 「業績はさまざまな要素に影響されるので、見込みは立てるが見込みどおりにいかないものだ」「コントロールできない要素があるから見込みと実績の差を小さくすることは難しい」と思われがちだが、実は、業績見込みと実績の差が小さい経営者には共通の特徴がある。会議や演習で発言したいと思った順番の計画と実際に発言した順番の差が小さいのだ。計画通りの順番で発言するスキルは反復演習で高めることができる。これにより計画実行力を高めることができるのだ。

 

【プロフィル】山口博

 やまぐち・ひろし モチベーションファクター代表取締役。慶大卒。サンパウロ大留学。第一生命保険、PwC、KPMGなどを経て、2017年モチベーションファクターを設立。横浜国大非常勤講師。著書に『チームを動かすファシリテーションのドリル』『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社)。長野県出身。

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