市販車に転用狙う
こうした中でホンダは15年に再参戦したが、市販車よりはるかに複雑なハイブリッドの耐久性向上や効率化に苦戦。部品が壊れるトラブルが続き、独メルセデス・ベンツや伊フェラーリのPUのパワーに後れを取っていた。
だが、その苦境を脱したのがオールホンダの力。故障続きだったパーツをジェットエンジン技術の応用で改良するなどした結果、徐々に成果が出始めた。日本GPで12勝目を上げたメルセデスの壁はなお高いが、「昨年途中に、よい効率の上げ方に気づいた」(浅木氏)と反転の糸口をつかみつつある。
F1の技術と人材は市販車にも生きる。過酷な環境で磨く技術力は、排気量やサイズが制限された軽自動車開発などに応用でき、その証拠に2年連続で国内販売台数首位を走る軽「N-BOX」は、昭和期からF1に関わってきた浅木氏が生みの親だ。「ハイブリッドに関係する電気自動車(EV)は歴史がまだ浅いがF1は“走る実験室”。さまざまな挑戦をし、市販車にもいずれ役立てたい」。浅木氏は技術陣を代表してこう語っている。(今村義丈)