高論卓説

世界の潮流は「金融から財政」へ 金利上昇懸念低く環境整う日本 (1/2ページ)

 G20(20カ国・地域)内では、マクロ政策の比重を金融政策から財政政策へシフトさせようとする気配が色濃くなってきた。国際通貨基金(IMF)は財政政策の活用に言及し、欧州の要人からは「次の危機」では財政が主役との声が相次いでいる。「金融から財政」へのシフトが世界の潮流になりそうな中で、台風19号の被害に直面した日本が、その流れの先頭に立つ可能性も出てきた。(ロイターシニアエディター・田巻一彦)

 IMFが出した「世界経済見通し」の中では、「金融政策が唯一の選択肢というわけではない」と指摘され、景気がさらに悪化した場合は「財政面の対応が要請されるかもしれない」と予想した。

 イングランド銀行のカーニー総裁は16日、世界経済が「流動性のわな」に陥りつつあり、財政出動の役割が一段と高まっていると強調。日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁も20日、ワシントンのイベントで、成長の著しい下押しに対応するため、金融緩和、柔軟な財政政策、中立金利の上昇につながる措置というポリシーミックスの有効性について言及した。

 金融政策から財政政策へのシフトが意識され出した背景には、2つの大きな理由があると思う。1つ目は、今回の世界的な景気後退懸念の背景に、米中貿易戦争が存在することだ。米中激突で貿易量が減少し、G20内では製造業を中心に生産に下押し圧力がかかっている。人為的な原因による需要減少に対し、財政で需要を付けた方が、より直接的な効果を期待できる。2つ目は、各国中銀の相次ぐ金融緩和で、金利の絶対水準が大幅に低下し、目ぼしい金利を得るために、過剰なリスクを世界の投資家が取り始めていることがある。

 オーストラリア準備銀行(RBA)のロウ総裁は17日、低金利のもたらす効果が「新たな資産への投資奨励というより、望んでいない既存資産の価格上昇につながる」と低金利の弊害に言及した。

 「国の借金」の残高が今年3月末で1103兆円となった日本。財政拡張の余地は小さいが、今月12日に上陸した台風19号の被害で、合わせて130カ所の河川氾濫が起き、政府や専門家の当初の想定をはるかに上回る被害が発生してしまった。復旧・復興に向けて2019年度補正予算の編成は必至とみられている。

 また、今回の台風を上回るスーパー台風が毎年、日本周辺に接近してくるとの専門家の予測もあり、継続的な公共事業費の増加を迫る状況になりつつある。

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