直接指導が受けられるアドバイザリーボードの豪華な顔ぶれも若者を引き付ける。元内閣官房参与、大学教授、有名ベンチャー企業オーナーなど各界のエキスパートぞろい。ディスカッションや中間発表では容赦ないダメ出しもある。
プロ野球ヤクルトの古田敦也元監督もその一人。「ボード陣は自分を信じて成功した人たちであり、マインドは伝わったと思う。アイデアを出し、肌で感じ、机上の空論ではなく具現化することの重要性を理解してもらえたのでは」と話した。
時に仲間とぶつかり、何度も案を手直しするなど心身をすり減らしながら迎えた最終日のプレゼンテーションでは、多くの市民も足を運ぶ中で、さまざまに熱の込もったプランが披露された。
大三島の段々畑復活とゲストハウス設立、廃れゆく漁師町で地取りの魚を提供する食堂出店、寂れたアーケードの芝生化…。感極まって涙声や絶叫調の発表者がいたのも、彼らにとってタフで充実した1週間だったことを物語る。
今治市民も協力
最優秀賞となったのは、地元高校生と外国人の交流によるダイバーシティ(多様性)の実践を提案した日本語学校生の班。高い実現可能性が評価され、早稲田大のゼミ合宿に招待されるサプライズの副賞も付いた。
「日本人とコミュニケーションできるようになりたくて申し込んで良かった。帰国したらここでの物事の考え方、協力の仕方を生かしたい」とインドネシア人のプラタマさんは満足げに言った。
最年少の平野雄己さんは地元の高校生。日本創成会議が今治市を消滅可能性都市としたことにショックを受け、何か役に立ちたいと参加した。「周りはみんな意識の高い大学生ばかり。高校では学べない思考などで刺激をもらった」。来年も応募するつもりだ。
「みんな一生懸命で、たくましくて、応援したくなる。若ければ私も参加したかった」と話すのは、最終発表にも駆け付けた主婦の矢野めぐみさん。自宅で郷土料理を手ほどきして「一日食堂」も手伝った。そんな市民の一助も若者の可能性を広げている。