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東京モーターショー“神プレゼン”社長ベスト3 潮流は「ジョブズ風」に (1/3ページ)

 2年に1度の東京モーターショーが開催中だ。一般公開に先立つプレスデーで、自動車メーカー20社のトップのプレゼンテーションを聞いたコミュニケーションストラテジストの岡本純子氏は「ステージ上を動き回る『ジョブズ風プレゼン』をする企業が一気に増えた。そのなかでもベスト3に挙げたい企業がある」という--。

 東京モーターショー“恥をさらせる”社長のプレゼンが最高なワケ

 東京モーターショーが10月24日に開幕した(11月4日まで)。「出展社や入場者が減り、じり貧」といった声も聞かれるが、日本の基幹産業である自動車業界の「今」を見る絶好の機会であると同時に、各社トップの渾身のプレゼンを観察できる貴重な場でもある。

 その現場で感じたのは、日本のエグゼクティブのプレゼンにも、確実にグローバルの潮流が押し寄せているということだ。今回はモーターショーに見る「世界水準のプレゼンの極意」について焦点をあてつつ、筆者の独断と偏見によるベストプレゼンターをご紹介したい。

 大手メーカー8社のうち7社が「ジョブズ風プレゼン」

 筆者はエグゼクティブのコミュニケーションコーチングを生業とし、カンファレンスや見本市をのぞいては、トップの登壇をチェックして楽しむ大のプレゼンマニアである。特に楽しみなのが、2年に1度のこの東京モーターショーだ。

 今回、コーチングの仕事で関わらせていただいたこともあり、10月23、24日のプレスデーには、足を棒にして、ほぼ全社のプレゼンを踏破した。

 日本では、「結論→理由→事例→結論」「課題→原因→解決法→効果」「ポイントは3つ」など「型」を中心としたプレゼンのノウハウが数多く出回っている。しかし、最も大切なデリバリー(どう伝えるか)のスキルはまだまだ浸透していないのが現状だ。

 このため日本人のプレゼンレベルは世界的に見れば、決して高いとはいえない。前々回、前回のモーターショーでも、海外と日本のエグゼクティブの「プレゼン力」には大きな差が見られた。ただ、今回、その差がかなり縮まっているように感じた。

 モーターショーでのプレゼンスタイルは、演台の後ろで原稿を読み上げるだけの「教壇型プレゼン」と、ステージ上を動き回りながら、身体全体を使って表現する「ジョブズ風(もしくはTED風)プレゼン」の2つに分けられる。

 回を重ねるごとに「教壇型プレゼン」はどんどん減り、今回は見て回った自動車及び部品メーカー20社中8社と初めて少数派に回った。いわゆる大手8社と言われるメーカーでは、実に7社が「ジョブズ風プレゼン」と一気に欧米流が主流になっている。

 別に、「教壇型」が悪いということではない。ただ、「演台」が壁となって、聴衆との「空気感」の共有や動きの妨げになり、話し手のエネルギーを届けにくい。だからこそ、アップルやグーグルはじめ、グローバル企業のプレゼンでは、話し手がまるで俳優やミュージシャンのようにステージ上を動き回るパフォーマンススタイルがデフォルトとなっている。

 しかし、「教壇型プレゼン」から「ジョブズ風プレゼン」への移行は、実はかなりハードルが高い。演台という「盾」の向こう側で、原稿を読み上げるのと、表情やジェスチャーをつけながら、聴衆という「見知らぬ人々」の前に全身をさらし、その視線を浴びるのとでは、プレッシャーが段違いだからだ。

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