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東京モーターショー“神プレゼン”社長ベスト3 潮流は「ジョブズ風」に (3/3ページ)

 人気プレゼンの文章の約15%が質問や問いかけ

 3つ目の極意は「対話」だ。残念ながら、今モーターショーでのプレゼンでも、自分が話したいことだけを一方的に話すモノローグスタイルが99%を占めたが、聴衆を巻き込む「対話性」を強く意識したものも、散見された。豊田社長のプレゼンでも、「いかがでしょうか」「ワクワクしませんか」という問いかけがいくつも入っていた。

 あるアメリカ人ジャーナリストがTED TALKの最も人気のある上位25のプレゼンテーションを分析したところ、3つの特徴があったという。

 笑いをとっていること、拍手や歓声を集めていたこと、そして、問いかけが多いこと。

 「?」の数を数えたところ、579あり、ピリオド、つまり日本語の「。」は3910だった。「。」で終わらせる文が6に対し、「?」で終わる質問や問いかけを1、つまり約15%の割合で、質問や問いかけを入れるといい、ということだ。聴衆を置き去りにせず、まるで会話や対話をしているようなプレゼンがグローバルスタイルということだ。

 「2019東京モーターショー」プレゼンテーションベスト3発表

 最後に、筆者が独断と偏見で選んだ「2019東京モーターショー」のプレゼンテーションベスト3をご紹介しよう。ランキングは、筆者独自の評価メソッドに基づき、声やボディランゲージ、演出やメッセージ性、個性やエネルギーなどといった指標を数値化して算出した。

 第3位:

 ホンダ・八郷隆弘社長

 スピード感、ジェスチャー、柔らかい表情、抑揚など抜群の安定感。

 第2位:

 日野自動車・下義生社長

 スクリーンに登場する未来の社長と今の社長との対話というユニークな趣向の演出。豊かな表情とジェスチャーで若々しさと躍動感が伝わる。

 第1位:

 トヨタ自動車・豊田章男社長

 相変わらずの突き抜け感。「道化」に徹し、高いエネルギーで、未来社会のワクワクを体現する。

 敢闘賞:

 マツダの竹内都美子主査

 数少ない女性のプレゼンターとして登場。堂々と、そして情感をこめたパフォーマンスで見事に大役を果たした。

 いかがだろうか。たかがプレゼン、されどプレゼン。トップ自ら体を張って、「恥をさらす」覚悟があるかどうか。そこから見えてくるのは社風であり、風通しのよさであり、変革の機運なのである。

岡本 純子(おかもと・じゅんこ) コミュニケーション・ストラテジスト
 早稲田大学政治経済学部卒、英ケンブリッジ大学大学院国際関係学修士、元・米マサチューセッツ工科大学比較メディア学客員研究員。大学卒業後、読売新聞経済部記者、電通パブリックリレーションコンサルタントを経て、現在、株式会社グローコム代表取締役社長(http://glocomm.co.jp/)。企業やビジネスプロフェッショナルの「コミュ力」強化を支援するスペシャリストとして、グローバルな最先端のノウハウやスキルをもとにしたリーダーシップ人材育成・研修、企業PRのコンサルティングを手がける。1000人近い社長、企業幹部のプレゼンテーション・スピーチなどのコミュニケーションコーチングを手がけ、「オジサン」観察に励む。その経験をもとに、「オジサン」の「コミュ力」改善や「孤独にならない生き方」探求をライフワークとしている。

 (コミュニケーション・ストラテジスト 岡本 純子)(PRESIDENT Online)

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