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かつてゲテモノ扱いされた「名古屋めし」 逆境を乗り越えた“強さ”とは (1/2ページ)

 外食ビジネスにおける「名古屋めし」の注目度が年々高まっている。地元では観光客向けの最重要コンテンツとして行政もPRに力を入れ、有名店には連日行列ができる。全国に店舗を広げる企業もあり、それぞれ他の地域でも人気を獲得している。

 名古屋めし企業はなぜ強いのか? 名古屋めし企業の強さの源はどこにあるのかを分析し、今後の展望を探っていく。

 21世紀に入り全国へ飛び出した名古屋めしビジネス

 本論に入る前に、まず名古屋めしの基礎知識について紹介しておこう。名古屋めしとは、名古屋および周辺地域で親しまれている郷土食の総称。みそ煮込みうどん、みそカツ、ひつまぶし、手羽先、きしめん、あんかけスパゲティ、台湾ラーメン、鉄板スパゲティ、みそおでん、小倉トーストなどが代表的な品々。非常にバラエティ豊かで、かつ、もともとは観光客向けにつくられたものではなく、地元で広く親しまれてきたものばかりというのが特徴だ。

 「名古屋めし」という言葉が生まれたのは2001年。名古屋の外食グループ、ゼットンが東京1号店を出した際、みそ串カツや石焼ひつまぶしといった名古屋特有の料理を採用し、それを紹介するキーワードとして、同社の稲本健一社長(当時)が情報誌の取材に答えたのがきっかけといわれている。

 その後、みそカツの「矢場とん」、手羽先の「世界の山ちゃん」、あんかけスパゲティの「パスタ・デ・ココ」(カレーハウスCoCo壱番屋系列)などが相次いで東京に進出して外食シーンのムーブメントに。さらに愛知万博(05年)以降の名古屋の観光客の増加、B級ご当地グルメの全国的なブームなども追い風となって、名古屋めしはご当地グルメの代表格として存在感を高めることとなった。

 手羽先、みそカツ、喫茶店の有力3社に聞く「名古屋めし」の強さ

 2000年代以降、全国展開を本格化した名古屋めし企業として、手羽先がメインの居酒屋チェーン「世界の山ちゃん」(経営/エスワイフード)、みそカツの「矢場とん」、喫茶チェーンの「コメダ珈琲店」が挙げられる。

 地元以外での展開に際し、各社はいずれも「名古屋めし」に対する関心の高さが優位に働いているという。

 「名古屋めしというキーワードのおかげで商品の紹介をしやすい。手羽先以外でも、どて煮やみそ串カツなど名古屋めしカテゴリーの中からの注文は多い」(「世界の山ちゃん」エスワイフード営業部)

 「『名古屋めし』という言葉のおかげで、名古屋にはここにしかないおいしい食べ物がたくさんある、というイメージを多くの人が抱いてくれた。他県の店舗でもお客さまの大半は“名古屋名物のみそかつ”と認知した上で利用してくれていて、『名古屋めし』のフレーズは非常に有効に働いていると感じる」(「矢場とん」鈴木拓将社長)

 「小倉トーストやみそかつパンは東日本、西日本エリアの方が注文数が多い。名古屋めしに対して“一度食べてみたい”、“どんなものだろう?”と関心や興味を抱いてくれているようです。デザートのシロノワールも、コメダオリジナルではなく名古屋で一般的に食べられる名古屋めしの一種だと思っている方もいらっしゃるようで、名古屋で人気らしいから食べてみたい、と注文の動機の一つになっているようです」(「コメダ珈琲店」広報)

 名古屋めしに対する期待の高さが集客につながっているがゆえ、ローカライズはしないというのも3社に共通する考え方だ。矢場とんの鈴木社長は名古屋ならではの食べ方を推奨する、と力強く語る。「みそはちょっとだけでいいです、というお客さんがいるが、“たっぷりかかっていてこそおいしいんです!”と本来の食べ方をお薦めするようにしています。今はもう“その土地の好みに味を合わせる”という時代ではない。本場の味をそのまま提供することこそが、お客さまの期待に応えることになる」

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