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隆盛極める女子ゴルフに潜む「2021年問題」 (1/2ページ)

 前週開催「日立3ツアーズ選手権」(千葉・グリッサンドGC)は、男子、女子、シニアの3つのツアー対抗戦が行われ、今季の全ての大会を終えた。結果は8月に「AIG全英女子オープン」を制した“スマイリング・シンデレラ”渋野日向子、“賞金女王”鈴木愛らを擁して隆盛を極める女子ツアーが4年ぶり5度目の優勝をした。

 ギャラリーは昨年の約1.5倍の6567人。3組しかないので渋野、鈴木組に集中。同組で回った男子の堀川未来夢、シニアの谷口徹は驚かされた。

 「普段と全然人数が違う」と堀川。谷口徹は「やっと“生”日向子に対面できて、生で見られて、生でプレーできた。やっぱりうまい」と絶賛。女子ツアーには勢いがあるが、渋野の存在が大きいのがわかる。

 絶大な「渋野効果」

 数字も示している。今季女子ツアーの最終日平均視聴率は6.4%。昨年比1.3ポイント上昇したが、全英制覇以降の渋野出場の13試合平均は8.3%と全体を上回った。渋野が女王争いした最終戦は13.6%で前年の同大会比プラス9ポイント。まさに“しぶ子効果”である。

 男子はどうか。平均は4.7%で昨年比0.5ポイントアップしたが、女子の後塵(こうじん)である。最高視聴率は最終戦「日本シリーズJTカップ」の8.8%。唯一のスター、石川遼が逆転優勝を果たした大会だった(数字はいずれも日本ゴルフトーナメント振興協会調べ、関東地区)。

 会場に足を運ぶギャラリーも女子が圧勝。昨年比約12万5000人増の68万2868人。60万人越えは10年ぶりである。男子は約9000人減の32万7801人…。試合数(女子39、男子23)の違いこそあれ“格差”は歴然だった。

 ホスピタリティーの差がある。“おもてなし”やファンへ喜びを与えるような行動…。女子は前日本女子プロ協会会長の樋口久子さんの下、ファンサービスなど“おもてなし”を徹底し、いまの繁栄の礎を築いた。

 男子は昨年、プロアマ大会でゲストに不適切な行動をとったプロもいた。ギャラリーにサインするのに憮然(ぶぜん)としているプロも…。「俺たちはゴルフを見せている」という態度がある。これではファンは離れてしまう。選手会長の石川も頭を痛めていた。しかもここ数年、スターはその石川遼ひとり頼み。孤軍奮闘では限界がある。

 女子は毎年“新鮮力”が台頭する。今季、渋野日向子を筆頭に勝みなみ、原英莉花ら“黄金世代”が脚光を浴び、今季プロテストに合格した安田祐から2000年生まれの“ミレニアム世代”の存在もある。かつて宮里藍さんの出現でブレークした05年当時のシード選手(賞金上位50選手に付与される優先出場権)の平均年齢は31.6歳だったが、来季は26.3歳。若い資質があふれている。

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