遠ざかる信頼回復
特別調査委の報告では、高齢者狙いの不正の手口やそれを抑止できない統治不全など、グループの惨状が明らかにされた。トップが辞めれば問題が解決するわけではないが、再生に向かうには、早期に責任の所在をはっきりさせるのが不可欠だ。外部の目で不正の実態が明るみに出るタイミングがその区切りと思われた。
もっとも、郵政グループのトップ人事の決定者は官邸であり、長門氏らが自らの意思だけで決断できないという事情もある。金融関係者は「金融庁の行政処分が出る27日に合わせるのではないか」との見方を示す。また、ある関係者は「官邸、金融庁、総務省の間で、誰が辞めるかや、時期、後任人事などで一致できていないようだ」と内実を語る。
郵政グループは再生に向けた最大の課題を先送りしたことで信頼回復の道は遠ざかった。不正販売という巨大組織の闇が晴れる日はまだ見えない。(蕎麦谷里志、高木克聡、西村利也、万福博之)