アマゾンの法人・個人事業主向け購買専用サイト「アマゾンビジネス」が、日本上陸から3年目を迎えた。「月末締め・翌月末払い」や「印鑑」といった日本特有の商習慣にも対応し、競合の脅威になりつつある。法人向けに注力する狙いはなにか。インターナショナル部門統括責任者のトッド・ハイメス氏に聞いた――。
日本の商習慣に対応させたアマゾンビジネス
――アマゾンビジネスは日本独特の商習慣に対応してきました。なぜそこまでして日本市場に注力するのですか。
アマゾンビジネスは2015年にアメリカで始まり、日本で17年9月に開始した法人・個人事業主向けの購買専用サイトです。日米のほか、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、インドそして最近になってカナダが加わり、計9カ国でサービスを展開しています。
アマゾンでは、新しいサービスを開発する際には、「ワーキング・バックワーズ」(working-backwards)という考え方を採用しています。日本の商習慣に対応したのも、この考え方を徹底した結果であると言えます。
――ワーキング・バックワーズには、どのような意味が込められているのでしょうか
これは常にお客様を起点としてビジネスをするという意味です。お客様の視点に立ち、お客様が何を求めているかを理解してサービスを開発し、ビジネスを展開していくことです。
日本を含め、世界のあらゆる国のお客様の声に耳を傾けますと、多くの場合求められていることは共通しているんですよ。アマゾンでは、豊富な品揃(ぞろ)えから商品を選べること、低価格であること、そして迅速に配達をしてもらえることなんです。
国ごとのニーズというよりは、お客様それぞれのニーズに応えていくという形がアマゾンビジネスの目指すべき道だと考えています。
ユーザーの声が新しいサービスを生む
――日本での展開当初から、アマゾンビジネスは日本特有の「月末締め・翌月末払い」に対応させました。
「月末締め・翌月末払い」の仕組みが、私が先ほど申し上げた「ワーキング・バックワーズ」の良い事例です。つまり、お客様のニーズを起点として、それを実現するための仕組みを作っていくということ。サービス開始前にお客様の声をお聞きしたところ、実に数多くの方からご要望を頂きました。
お客様のニーズを起点に、仕組みを作っていきます。われわれの行動理念として、まずサービスを展開するエリアに着目しながら、お客様の固有のニーズを踏まえ、そこから仕組みを作り、お客様のビジネスに活用してもらいたいと考えています。
――同じく日本でのサービス開始当初から、「ハンコ」に対応しました。
日本特有のもので、われわれも配慮しているのが日本のハンコ文化です。これは、日本でデジタル・トランスフォーメーションを推進するうえで対応が必要だと認識しています。
会社によってさまざまな見解があり、ハンコに対して寛容な会社もあれば、一度印刷して紙に一つひとつ押さなければならない会社もありますね。
見積書をPDFにして印刷できる機能を付けたのも日本が初めてです。商品の購入に関して、電子承認の仕組みを備えています。この仕組みを活用してもらえば「稟議(りんぎ)」のような会社の決定プロセスにも対応できます。ハンコが必要となると、なかなか難しいですね。