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北の大地・北海道が一大ワイナリーに 温暖化で高級種栽培続々、仏老舗も進出 (1/2ページ)

 北海道で、高級ワインに使われるヨーロッパが原産のブドウの品種ピノ・ノワールの栽培が相次いでいる。フランスの老舗ワイナリーも函館に進出し、2019年5月に苗木を植え始めた。かつては冷涼で栽培に適さないとみられていたが、地球温暖化の影響でワイナリーが増えている。一方、雨量の増加によって、収穫量減少や酸味の低下などリスクもある。

 「手前にピノ・ノワール、奥にシャルドネを植えた。収穫が待ち遠しい」

 函館市内に広がるブドウ畑で19年10月下旬、フランスの老舗ワイナリー「ドメーヌ・ド・モンティーユ」のエティエンヌ社長は苗木を前に笑顔で話した。

 同社は1730年に創業したブルゴーニュ地方の名門ワイナリー。親日家の社長が日本進出を決め「ブルゴーニュでも温暖化の影響でブドウの熟成や収穫時期が早まっている」と、候補を寒冷地に限定した。

 専門家に調査を依頼し、選ばれたのが雪が少なく土壌が良質な函館。これまでに約30ヘクタールの土地を購入し、収穫は2023年ごろになる。醸造所も建てる計画で、エティエンヌ社長は「フランスで長年かけて培ったノウハウを生かし、北海道ワインの魅力を世界に広めたい」と意気込んでいる。

 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の北海道農業研究センターの広田知良寒地気候変動グループ長(54)によると、ピノ・ノワールの栽培は、4~10月の平均気温が14~16度の地域が適している。北海道では1990年代後半から4~10月の平均気温が安定して14度を超え、農林水産省によると、2016年の道内でのピノ・ノワールの栽培面積は約28ヘクタールで、06年の約5倍に増加した。

 北海道余市町のワイナリー「ドメーヌ・タカヒコ」では、10年の開設以来ピノ・ノワール一種に限定し生産。最近は酒屋からの注文を断るほどの人気という。

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