高論卓説

福島の若手農家、「消防団」を変える ベンチャー魂で火事情報共有アプリ (2/2ページ)

 このシステムの最大の特徴は消防団幹部だけでなく、全団員が同時に同じ情報を共有できるところだ。和田さんはこのシステムを「SAFE」と名付け、事業化するために須賀川市に「情報整備局」を設立した。SAFEはふくしま復興塾の準グランプリを獲得、その後も福島県知事の経営革新事業並びに経済産業省の事業継続力強化計画に認定され、各地の消防団や自治体から問い合わせが入り始めた。

 だが、情報整備局には問い合わせに応える担当がいない。和田さんは40町歩の田んぼを抱えて毎日泥まみれ、斎藤さんも勤め人だ。今年になってやっと、地元の信金を脱サラした深谷学さんが加わり情報整備局も少しは会社らしくなってきた。3人はこれから日本中の消防団に防災アシストアプリSAFEを普及させるという壮大なチャレンジに臨む。日本の若い衆は良い。田畑を耕しベンチャー魂も育てる。そして彼らは今日も火事を追って町中を走り回っている。

【プロフィル】平松庚三

 ひらまつ・こうぞう 実業家。アメリカン大学卒。ソニーを経て、アメリカン・エキスプレス副社長、AOLジャパン社長、弥生社長、ライブドア社長などを歴任。2008年から小僧com社長。他にも各種企業の社外取締役など。北海道出身。

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