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水素運搬船、次世代エネに道筋 川崎重工が来年度から「豪-神戸」間で実験開始 (1/2ページ)

 水素社会構築の鍵を握る重要な実証実験が、2020年度から始まる。川崎重工業が世界で初めて開発・製造した水素運搬船で、豪州から日本へ液化した水素を運搬。将来的には運搬船の規模拡大を図る一方、運んだ水素を発電所や燃料電池車(FCV)の動力源に使うことを視野に入れる。利用時に二酸化炭素(CO2)を排出せず、環境に優しい次世代エネルギーとして注目されている水素の本格利用が、いよいよ現実のものとなりつつある。

 液化して大量輸送

 昨年12月11日に神戸市中央区の川重神戸工場で行われた水素運搬船の進水式。原田英一川重執行役員の妻、智草さんが係留ロープを切断すると、運搬船は海に向かってゆっくりと滑り出し、同工場内の艤装(ぎそう)エリアへと向かった。

 進水式にはトヨタ自動車の内山田竹志会長ら、関係者や神戸市民を含む約4000人が参加。一般的な商船の進水式が1000人規模なのを考えると、運搬船への期待がいかに大きいかが分かる。

 「すいそ ふろんてぃあ号」と名付けられた運搬船は、全長が116メートル、総トン数は約8000トン。今後は水素の貯蔵タンクなどを取り付け、今年秋ごろに完成する予定だ。完成後は豪州の水素を液化する基地と、神戸空港島の荷揚げ基地を結ぶ約9000キロを往来する予定。輸送や貯蔵を含む一連の実証実験には、岩谷産業やJパワー(電源開発)、丸紅なども参加している。

 常温で気体の水素は、そのままだとかさばるので長距離輸送できない。もっとも、セ氏マイナス253度まで冷やして液化すれば、体積が800分の1に圧縮されるため大量輸送が可能になる。

 タンクは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助を受け、川重播磨工場(兵庫県播磨町)で製作。特殊ステンレス製の二重構造をした専用タンクで、1250立方メートルの液化水素を運べるという。同工場では種子島のロケット発射基地向けに水素タンクを製作した実績があるが、今回はその2倍強の大きさとなる。

 FCV向けに需要増

 水素は褐炭と呼ばれる低品位の石炭から製造し、液化して日本へ運ぶ計画。褐炭は水分量が50~60%と多く、乾燥させると自然発火しやすいので輸送には適さない。このため豪州は有数の石炭埋蔵国で、その多くを褐炭が占めるにもかかわらず、現地の発電ぐらいにしか利用されてこなかったという。

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