フジテレビ商品研究所 これは優れモノ

何も足さず、何も引かず…伝統の製法守る 津嘉山酒造所の琉球泡盛「國華」 (1/2ページ)

 文化、文明のある所には酒があるという学者もいる。文化の多様性が、異なる酒を生んだともいえる。現代の日本ほどさまざまな酒を造っている国も珍しいのではないか。今回の「これは優れモノ」は、日本古来の蒸留酒、泡盛を取材した。

 日本最古の蒸留酒

 「酒造りでは余計な手は加えないこと」ときっぱりと話すのは、沖縄県名護市の泡盛製造専門の酒蔵、津嘉山酒造所の秋村英和さん(48)。千葉県出身で大学卒業後、東京でサラリーマンをしていた時、仕事の息抜きで訪れた沖縄で泡盛造りに魅了された。36歳の時に、津嘉山酒造所に入り、酒造りの基本を学んだ。以来何も足さず、何も引かず、昔ながらの製法を守り、伝統の味を作り続けている。

 泡盛は日本最古の蒸留酒といわれている。ひと口に蒸留酒と言ってもさまざまだ。ウイスキー、焼酎、ウオッカやブランデー、テキーラなど原料や製造方法の違いによって味も香りも全く異なる酒となる。酒の元になるアルコールは、糖類が発酵することで作られる。旧石器時代の人類が、腐った果物を食べると酔うことに気づいたのがきっかけだといわれている。

 果汁や植物液、穀物や動物の乳などは、糖類を多く含んでおり、アルコールの原料として最適だ。天然発酵させた場合にアルコールの濃度は18~19度に達するが、それ以上高くはならない。アルコールの発生によって発酵が止まってしまうからだ。そこで考えられたのが、蒸留法だ。紀元前4世紀の古代ギリシャの哲人、アリストテレスの著作の中に、その方法が記されているものもある。

 近代の蒸留技術の源は、7世紀以降のアラビアの医師や化学者らによるものと推測されている。その方法は、大鍋に入れた水を沸騰させて、その蒸気を綿に吸わせて、別の器の上でその綿を絞るというものだった。

 原料はインディカ米

 水とアルコールでは沸点が違う。水は100度だがアルコールは78.3度のため、加熱するとアルコールが先に蒸発する。この時に集めた蒸気を冷やして、液体にすることで濃度の高いアルコールとなる。飲用に適したアルコールを抽出するには、78~82度でゆっくりと蒸留すると良いといわれている。

 できたアルコールを水で薄めることで度数の違った酒を造ることができる。ちなみに泡盛や焼酎は蒸留によって造られるが、日本酒や紹興酒、ビールは蒸留しないのでアルコール度数は低めとなる。

 泡盛の原料は日本酒と同じく米だが、粘り気のある日本米(ジャポニカ種)ではなく、硬質でパサパサしたインディカ種(細長い系統のお米)のタイ米を使う。

 タイ米に黒麹を混ぜて米麹にする。それに水と酵母を加えてモロミにし、発酵させる。これを蒸留させてできるのが泡盛だ。蒸留し、液体となったときに泡が盛り上がるようだったので、泡盛といわれるようになった。

 昔ながらの製法で造った津嘉山酒造所の自信作が、「國華(こっか)」。「先代からの伝統製法を守った雑味のない味が特徴です」と秋村さんはほほ笑んだ。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus