≪interview 担当者に聞く≫
津嘉山酒造所・秋村英和氏
■機械をばらして徹底洗浄 雑菌の混入防ぐ
--酒造りでこだわっていることは
甕(かめ)や瓶に入れて3年以上寝かして熟成させた、古酒(クース)が珍重されているようだが、その製造にはこだわらない。その代わりに、昔ながらの製法を守ることと、工場を清潔に保つことの2点には、気を付けている。とくに清掃は、酒造りと同じくらいの時間をかけている。造るたびに、機械を全てばらして、ほぼ1日かけて徹底的に洗浄する。空気中の雑菌がモロミに混入すると酒に雑味が出てしまい、売り物にならない。役所の衛生検査でも、とてもきれいな工場ですねとお褒めの言葉を頂くほどだ。
--酒造りの難しい点は
米を均質に蒸すのが難しい。上手に蒸さないと米に麹菌がいいあんばいで付かない。また、麹作りも微妙な作業が必要だ。蒸した米に種麹を混ぜて、1晩寝かせてコウジカビを繁殖させるのだが、この時の温度管理が難しい。外気温も影響するし、庫内の温度センサーだけではムラがあるので、経験値による見定めが必要となる。仕込みは月に2回のペースで行っている。1回の仕込みにかかる期間は、真夏で3週間、冬場で1カ月ほどだ。
--酒造所は戦前からの建物だ
沖縄戦でも焼け残った。米軍が占領後に広い建物が必要だったので、残したのではないか。おかげで、戦前からの酒造所としては沖縄県で唯一生き残った。建物は昭和初期のもので、2009年に国の重要文化財に指定されている。あちこち修繕が大変だが、沖縄の歴史を色濃く残す建物と伝統の味を守っていきたいと考えている。
--泡盛のおいしい飲み方などは
作り手としては気軽に飲んでほしい。水割り、ストレートなどどんな飲み方でも味わえる。その昔は、サバ缶の汁で割って飲む人もいたそうだ。「國華」は県外では入手困難だと思うので、沖縄に来たときにぜひ試していただきたい。
■フジテレビ商品研究所
「企業」「マスコミ」「消費者」をつなぐ専門家集団として1985年に誕生した「エフシージー総合研究所」内に設けられた研究機関。「生活科学」「美容・健康・料理」「IPM(総合的有害生物管理)」の各研究室で暮らしに密着したテーマについて研究している。
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