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ラピュタで人気の友ヶ島に「音の美術館」 景観損ねない最新“展示”技術 (1/2ページ)

 BGMや観光案内、架空の物語といった音声情報を、観光地や歴史施設に組み合わせ、地方の活性化につなげる取り組みが広がりつつある。使うのは、利用者の場所に応じて音を自動再生する最新技術「音声AR(拡張現実)」。和歌山市沖の観光地・友ケ島では、音声ARを使った「音の美術館」が“開館”した。音声情報で体験型観光の可能性を広げ、既存の観光資源に新たな価値を作り出す試みに注目が集まっている。(有年由貴子、細田裕也)

 「この地でわれわれは、今は絶滅してしまった生物の痕跡を発見した」「島に残ったさまざまな痕跡を分析した調査結果をここに報告する」

 旧日本軍の砲台跡など多くの歴史施設が残る友ケ島。中央部にある「第3砲台跡」で、スマートフォンの音声ARアプリを作動させると、ナレーションが響き始めた。

 流れるのは、島を舞台にした架空のストーリー。薄暗い弾薬支庫跡で、音声に導かれながら懐中電灯で照らすアート作品を観賞していくと、物語の世界を探索しているかのような感覚に包まれる。

 この「音の美術館」は市と、音楽などの事業を手がけるエイベックス・エンタテインメントが共催し、アプリを開発。アプリ利用者の位置情報を、各ポイントに設置したビーコン(電波発信器)を使って把握し、音声や音楽を再生する仕組みだ。利用者がポイントに近づくだけで、アプリから音声が自動で流れる。

 現在は場所によってさまざまにアレンジされた童歌が聞こえる常設展のほか、島内の戦争遺構などを訪れると解説が流れるガイドが利用できる。アプリを使った和歌山市の会社員、田村進一郎さん(21)は「子供の頃から島には何度も訪れているが、今まで素通りしていた場所にも意味があることを知ることができた」と話した。

 友ケ島は近年、スタジオジブリの人気アニメ映画「天空の城ラピュタ」の映像風景に似ていると人気を集め、平成30年の来訪者数は約7万人と10年間で3倍以上に急増。一方、リピーターづくりや新規ファンの獲得も課題で、市の担当者は「音声ARの導入で島の魅力を高めたい」と意気込む。

 同社担当者は「音声は多言語化やストーリーなどその土地の価値を多層化していける。地方創生の一助になれば」としており、他の地方自治体などからも連携の相談が寄せられているという。将来的には、視覚障害者の補助技術としても応用を目指している。

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