メディアを使った地域観光に詳しい立命館大の遠藤英樹教授は「個々に合わせた対応ができる音声ARは、観光客がそれぞれに地域の物語を発見できる。土地との結びつきもより深く感じられ、地域振興につながるツールとして導入が広がっていくのではないか」と話している。
博物館、イベント会場…広がる音声AR
音声情報は看板設置などを伴わないため景観を損なわず、内容の変更や消去も容易だ。「新たな付加価値」を付けるツールとして、地方の観光地や博物館、イベント企画で音声ARの活用が広がっている。
平成30年8月、北海道函館市出身の人気ロックバンド「GLAY」の地元ライブ開催に合わせ、ゆかりの地を訪れるとスマートフォンでGLAYの楽曲やメンバーのコメントが流れる“聖地巡礼”イベントを所属事務所が企画した。
技術提供を行ったIT関連企業のブログウォッチャー(東京)によると、期間中の訪問者は普段に比べ増加。協力した函館市の担当者は「訪問先での地元住民とファンの交流も生まれ、函館のPRの一助にもなった」と話す。
ミツカン(愛知県半田市)が運営する博物館「ミツカン ミュージアム」では30年7月、酢造りの歴史を伝えるコーナーに音声ARを導入。ガイド付きの人気コーナーのため、以前は人数や時間に制約を設けていたが、予約のない来場者でもスマホを使って音声ガイドを聞いたり画面の説明文を読んだりしながら、自由に見学が可能になった。
「音声ARなら展示物のイメージを損ねることなく情報を届けられる」と榊原健館長。来館者の動線や滞在時間もデータ化できるため、今後の展示改修などに役立てたいとしている。