高論卓説

「自分ごと」だから仕事は面白い Soup Stock Tokyo仕掛け人のキーワード (1/2ページ)

 先日、あるマーケティング雑誌のインタビューで、スープ専門店「Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)」を手掛けているスマイルズの遠山正道社長に会う機会があった。私が不確実なこれからのビジネスにはアートの概念が欠かせないと考えて、アート特集号を編集長として編集したときのことだ。(吉田就彦)

 遠山社長は、スープチェーンのビジネスに加え、ある意味アーティスティックな発想で、木綿ネクタイのブランド「giraffe(ジラフ)」や思い出ある自分の持ち物を人につないでいく「PASS THE BATON(パスザバトン)」など、数々のユニークなビジネスを立ち上げてきた。本人も作品を作るアーティストだが、アートとビジネスの関係を示す言葉としてインタビュー時に使ったのが「自分ごと」というキーワードである。

 アートは直接社会に役立つものではなく、誰からもお願いされるわけでもないが、自分のために、作りたい自身の欲求のために、アーティストが作る自分ごとの結実がアートであると言う。この自分ごとというスタンスを、今、われわれ日本は持てているだろうか。昨今の政治家の不祥事や相次ぐビジネストップの謝罪会見。コンビニ店員の不適切な行いや飲食店員の厨房(ちゅうぼう)でのていたらく映像まで散見する。本当にこの国はどうなってしまったのか。

 これらの不適切な行い全てに言えることは、当事者の自分ごと意識の不在である。仕事に対して自分ごとであることで生まれる誇りや自信、そして客に対するありがたさや感謝の意。それらが感じられないのは、まさに自分ごとではないからである。それは社会悪でさえある。

 自分ごとでさえあれば仕事に工夫も生まれるし、面白さも生まれる。それは社会的地位レベルや経験に関係なく、まして男女の区別も、年齢の区別もない。政治家や企業トップも現場のアルバイトも関係ない。その仕事をわれわれは自分ごとに本当にできているのだろうか。自分の仕事を誇りを持って面白くできているだろうか。

 私は学生を教えている立場で、彼らには「仕事は面白くするもの」と伝えている。自分で面白くなるよう工夫しなければ単に仕事は苦痛でしかない。もちろん、嫌なものをやらなくて済むのならやらなくてもいいのだが、どうしてもやらなければならないとしたなら、楽しくやる方がいいに決まっている。

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