「中小企業等円滑化法の適用を受けるためには、実効性のある抜本的な再建計画を策定し、金融機関に承認してもらうことが前提になっていた。その俗に“実抜計画”と呼ばれる再建計画の最長期間は10年とされている。その期限到来を控え、再建できなかった企業が退場を余儀なくされ始めた」(地銀幹部)というわけだ。
金融庁幹部も「粉飾はなかなか見抜けないが、貸し手の銀行と企業とが距離があって話をしないので、見抜けないこともあるのではないか」とクギを刺す。
また、銀行間で企業の財務内容の名寄せができていないことも粉飾を許す要因となっていると言っていい。当然、粉飾倒産は地銀の与信コストを増加させ、苦しい決算をさらに苦しいものにしかねない。抜本的な対応が望まれる。
【プロフィル】森岡英樹
もりおか・ひでき ジャーナリスト。早大卒。経済紙記者、米国のコンサルタント会社アドバイザー、埼玉県芸術文化振興財団常務理事を経て2004年に独立。福岡県出身。