金融

全容見えぬ日本郵政、完全民営化は「絵に描いた餅」 土曜休配も実現せず (1/2ページ)

 【ビジネス解読】

 かんぽ商品の不正販売に端を発した日本郵政グループのガバナンス不全は、トップ3人が年明け早々に交代するという事態に発展、日本郵政の新社長に就任した増田寛也氏は「信頼回復」を最優先する考えを強調する。だが、新たに約6万人が不利益を被った疑いがあることが発覚するなど、不祥事の全容はいまだ明らかではない。今後も事業の停滞は避けられず、次の株式売却も見通せない。このままでは完全民営化など「絵に描いた餅」になりかねない。

 販売再開時期は不透明

 「速やかに調査を進め、顧客の不利益を一刻も早く解消する」

 1月31日、増田氏は記者会見で、不利益を被った疑いのある約6万人(約22万件)の契約内容を追加調査することを明らかにした上で、こう語った。

 金融庁などの行政処分は3月末までだが、増田氏は「(保険販売の再開時期は)申し上げる段階にない」と語るにとどめた。

 もともと、グループ内では「処分解除後も半年程度は再開できない」との見方があった。というのも「まずは管理職の研修、さらには現場の社員研修をそれぞれ数カ月単位で行う」(日本郵便幹部)と考えていたためだ。

 そこに追加調査が加わることで、再開はさらにずれ込むとみられる。

 顧客の不利益解消を優先するためだが、かんぽ生命保険は民営化・分社化以降、満期解約などによる契約減を新規契約で補えていなかった。そこに今回の販売自粛・停止、さらには途中解約が追い打ちをかける。

 昨年度までは170万件余りあった年間の新規契約(個人保険)も今年度は58万件程度と、実に3分の1に落ち込む見通しだ。これに保険金返金や不正の調査費用など…。最終的な損失額がどこまで拡大するかは、いまだ見通せない。

 土曜休配も実現せず

 一方、日本郵便も深刻だ。かんぽ生命からの窓口委託手数料は年間約4000億円に上る。長期の販売停止で手数料収入の激減は避けられない。

 さらに、一連の問題のあおりを受け、はがきや手紙の土曜日配達などを廃止する郵便法改正案の提出が今通常国会でも見送られる。

 改正案は郵便市場の縮小や人件費高騰に対応するものだ。もちろん土曜休配だけでは劇的な業績改善は見込めないが、一定の収益改善効果はある。(2018年12月17日付本欄「『土曜休配』も劇的な採算改善は望めず 続く日本郵便の苦悩」参照)

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