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社員に感染者が出たら…リモートワークなじまぬ企業はどうする? (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染が広がる中、各企業は従業員の感染に神経をとがらせている。多くの従業員が出勤する会社では、クラスター(感染者の集団)発生のリスクもはらむ。実際に感染者が出た企業は、どのような対応をしているのか。(石川有紀 有年由貴子 江森梓)

 5千人がオフィス外で

 「働き方改革の一環で以前から在宅勤務などを推進し、環境を整えてきたので大きな混乱はない」

 こう話すのは、2月下旬に男性従業員1人の感染が確認された広告大手の電通の担当者だ。同社は当面、男性が勤務していた東京都港区の本社ビルで働く全従業員約5千人を対象に原則自宅など会社以外での勤務(リモートワーク)を実施。この間は全従業員が検温を行い、上司に報告するよう義務付けている。

 ただ、緊急性の高い業務に関しては相手方の合意を得た上で取引先のオフィスでの打ち合わせを認めた。

 異例の休業も

 従業員同士の接触を抑え感染リスクを下げる在宅勤務などのリモートワーク。政府の専門家会議は推奨するが、接客業や製造業などなじまない業種は多い。

 三菱UFJ銀行では、2月26日夜に江南支店(愛知県江南市)で行員1人の感染が発覚。翌日の午前6時から支店の消毒作業を行った上で、名古屋本部などから行員を派遣して同9時から通常通り営業した。

 一方、同じ金融機関でも今月2日朝に行員の感染が発覚した伊予銀行では、愛南支店(愛媛県愛南町)の消毒のため同日の営業は困難と判断し、銀行としては異例の休業を実施。3日から本部の行員を派遣し、営業を再開した。

 両行とも感染症が流行した際の事業継続計画(BCP)に基づく判断だった。

 だが、非常時に備えた態勢が整っている企業ばかりではない。大阪商工会議所が先月、会員企業を対象に行った調査では、8割強の企業が感染症を想定したBCPを策定していないことが判明。約2割が今回の感染拡大を受け、「検証や新たな作成の必要性を感じている」と回答した。

 非常事態の見極めを

 今後感染がさらに拡大すれば、従業員の発症に加え家族の世話のために欠勤する人の大幅な増加が見込まれる。こうした状況が続けば、業務が立ち行かなくなる可能性もある。実際、石川県能美市の繊維メーカー、小松マテーレは従業員3人が感染したことを受け、3月15日まで事業を全面的に停止した。納期遅れなどでマイナスの影響が見込まれるという。

 また、人が密集する都心部にオフィスを構える会社の場合は周辺への影響も懸念される。

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