テクノロジー

AIは地酒の味が分かるか? 新潟駅で観光活用の実証実験 (1/2ページ)

 AI(人工知能)があなたの好みに合う新潟の地酒を選びます-。JR東日本と新潟市などは3月15日まで、AIで観光客の味覚を判定し、新潟県内の約80銘柄からお薦めの地酒を紹介する「日本酒観光案内バー」を新潟駅(新潟市中央区)構内でオープンしている。人呼んで「AI利き酒」。下戸のコンピューターに酒の味が分かるのか-。新潟赴任以来、県内にある数々の地酒を堪能してきた記者が酒好きの意地をかけて挑戦した。(池田証志)

 「ビュンビュン」「ヤワヤワ」

 日本酒観光案内バーは、JR東日本の子会社でベンチャー企業と協業する「JR東日本スタートアップ」(東京)が手掛ける実証実験で、地域活性化を目指しAIと観光を掛け合わせた。県内外の10種類の日本酒を飲み比べ、スマートフォンなどの専用アプリに5段階評価を入力すると、AIが「ビュンビュン(淡麗系食中酒)」や「ヤワヤワ(甘さ控えめ熟成酒)」など12の味覚タイプから1つを判定し、県内酒蔵の中から特定の銘柄を薦めてくれる。利用料は2千円だ。

 「日本で最も酒蔵が多いのが新潟県。種類が多く選ぶのが難しいこともあり、好みに合うものと出合ってもらえれば」。判定システム「YUMMY SAKE」を提供する「MIRAI SAKE COMPANY」(東京)の山本祐也代表はこう提案する。

 10問で見事に

 記者も「AI利き酒」してみた。目の前に現れたのは、黒いお猪口(ちょこ)が10個並ぶトレイ。それぞれに名前を伏せた日本酒が注がれている。1杯飲むごとにスマホのアプリの画面をタッチして最高で星5つの評価を付ける。

 「辛口で木の香りがするな」「甘いチョコレートみたいだ」。チェイサーで口をすすぎながら、1杯ずつ味わう。正直、最後の4杯くらいは違いがよく分からなくなっていたが、判定ボタンを押すと、結果が表示された。

 「あなたの味覚タイプは『キュンキュン』 バナナやライチを思わせるトロピカルな香りが広がる日本酒」

 分かったような、わからないような…。続いて、アプリ上部の「新潟地酒」のタブをタッチ。県内の地酒で最もお薦めの銘柄が表示された。

 「村祐(むらゆう) 茜ラベル」

 新潟市の村祐酒造の特別純米酒だ。タイプはキュンキュンに近い「シャラシャラ(メロンやリンゴのようにさわやかに香る日本酒)」だが、実はこれが「当たり」。記者がいまハマっているのがまさしく村祐だったのだ。

 生産規模が小さな酒蔵で、市内の居酒屋でもなかなか置いていない。新潟で知り合った人生の先輩に教わって以来、メニューで見つけると必ず頼んでいた日本酒。それをたった10問で当てるとは…。

 日本酒観光案内バーでは、アプリが推薦する地酒を1杯試飲することができる。キュンキュンタイプで用意されていた朝日酒造(長岡市)の「久保田 紅寿」をいただいた。すっきりとした味わいの中にフルーティーな香りがほのかに漂う。おいしい-。ちなみに、お薦めの付け合わせは「きびなごのバジルオイル漬け」(500円)だった。

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