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新型コロナ禍がスポーツ界の未来を担うグラスルーツにも 現場存続の危機 (2/2ページ)

 壁は乗り越えられる

 一方、「大人が頑張っている姿を子供たちに見せるとき。この状況を生かせる方法もある」と前向きに話すのは、NPO法人ベースボールスピリッツの奥村幸治理事長。プロ野球オリックスでイチローさんの専属打撃投手を務めて「イチローの恋人」と言われた人物だ。その後、強豪の兵庫・宝塚ボーイズを結成し、米大リーグ、ヤンキースで活躍する田中将大投手らを育てたことでも知られる。

 宝塚ボーイズが加盟する小中学生の硬式野球団体のひとつ、日本少年野球連盟は政府の休校要請を受け、大会を中止するとともに、全チームに活動自粛を通達。その後、いったんは試合形式の練習禁止などの制約を設けて自粛を解除したが、緊急事態宣言の7都府県への発令を受け、チーム活動を一切禁止することに。約60人の会員を抱える宝塚ボーイズもグラウンドでの活動は行っていない。

 「子供たちに体を動かしてもらいたいが、電車を乗り換えてやってくる子供もいる。やむを得ない」と奥村理事長。代わりに力を入れているのが、自宅でできる練習メニューの動画発信だ。投球や打撃のフォーム、ゴロの捕球の仕方などをまとめ、子供たちに「今だから、習得してほしい」「正しいフォームを身につけよう」と呼びかけた。また「チームの中で必要とされるにはどうすればいいか」などの講義も動画で行っている。

 年間100回以上の講演活動を行い、収入をチームのために整備した専用グラウンドの借金返済などに充ててきた奥村理事長自身、感染拡大により講演会が相次いでキャンセルになるなどの影響を受けている。それでも、「オンラインで講演する方法ができないかと考えている。僕自身にとっても新しい挑戦」とプラス思考を崩さない。

 理由は…。奥村理事長は「僕にとっては、イチローの存在が大きい。彼は常に『乗り越えられない壁はない』という姿勢で野球に取り組んでいた。(困難を克服し)復活した自分がどうなっているのかというイメージを持つことが大切」と強調した。

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