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マスク窮乏は中国依存があだに コスト優先・国内増産の投資に二の足  (1/2ページ)

 スーパーやドラッグストアの棚からマスクが消えて3カ月。国内流通の7割を中国に依存した供給構造があだとなり、輸入量が戻りつつある今も、急増した需要を賄うには届かない。メーカー各社は国内の新規増産投資には二の足を踏む。安倍政権が打ち出した全世帯への布マスク配布も迷走し、店頭での品薄状態はなお長期化しそうだ。

 首相が業界やり玉

 世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスの「パンデミック(世界的大流行)」を表明した3月中旬。大手マスクメーカーの広報担当者の携帯電話が早朝に鳴った。「今日これから、テレビ局にマスクの生産ラインを公開してほしい。経済産業省からの要請だ」。声の主は社長だった。

 急遽(きゅうきょ)航空券を手配し、東京から600キロ離れた生産工場へ飛んだ。白い作業服姿の従業員が箱詰めし、マスクを満載したトラックが次々と出荷先に向かう様子を公開。各局は夕方や夜のニュースで大きく報じた。

 担当者はその日のうちに都内へ戻ると、嵐のような一日を振り返った。「いつになっても店頭にマスクが並ばず『本当に生産しているのか』という声を抑えるのが経産省の狙いだろう。それにしても、突然だった」

 政府はこれまで、設備投資費用の最大4分の3を補助する制度を整えて増産を支援。インターネットなどでの転売も規制し、品薄状態の解消に努めてきた。国内の生産能力は月7億枚と、コロナ流行以前の数倍に向上。それでも需要を満たすには至らず、マスクを求めて店前に並ぶ人の列は日に日に延びた。

 しびれを切らした安倍晋三首相は4月1日、後に「アベノマスク」と揶揄(やゆ)される布マスクの全世帯配布を表明する。17日の記者会見では、マスクを含む医療物資不足の背景に「中国に大きく依存していた問題点がある」と述べ、関係業界をやり玉に挙げた。これには業界関係者も「調達コストを優先した点は否めない。大いに反省すべき部分だ」とうなだれる。

 終息後の過剰嫌う

 ただ、中国頼みは日本に限らない。世界のマスクは半数が中国製とされる。自社の専用工場を持たず、現地企業に生産を丸投げしていたケースも多い。世界的な需要急増で生産現場がパニックに陥り、中国の輸出制限が混乱に拍車を掛けた。

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