その中国は、当局の大号令で各企業がマスクの大増産に動く。「世界最大の生産ラインを立ち上げた」と豪語する電気自動車メーカー「比亜迪(BYD)」が1日1500万枚を量産するなど、輸出に回す分も増えてきた。経産省によると、日本の輸入量は現在週3000万枚ほどで、ほぼゼロまで落ち込んだ2月中旬から復調傾向にある。
他方、日本国内での増産に向けた動きは十分ではない。既存設備の生産量は頭打ちで、感染終息後の供給過剰を嫌って新規投資は手控えられている。最大手ユニ・チャームの高原豪久社長は「今年秋以降に業界全体の国内生産は月1億枚増える」と見込むが、不足分は輸入が必要だと説明する。
新型コロナとの闘いは年単位との観測もくすぶる。中国頼みの構造課題を解消できぬまま、マスク騒動は続く。