デジタル経営革命新時代

(1)中小のDX促進へ意識改革 (1/2ページ)

 フォーバル代表取締役会長・大久保秀夫氏×STANDARD代表取締役・安田光希氏

 人口減少やグローバル化、デジタル化という大波が日本の経済社会に変革を迫っている。日本経済を支える中小企業の多くが人手不足などの課題を抱えており、効率化やそのためのデジタル化が強く求められている。日本企業、特に、その根幹を担う中小企業のデジタル化、経営改革をどのように進めていくべきか。STANDARD代表取締役の安田光希氏が、フォーバル代表取締役会長の大久保秀夫氏に展望や課題を聞いた。

 ◆“使う人”だけ育成を

 --中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)がなかなか進みません。大久保会長は数多くの会社の経営を見てこられていますし、ビッグデータ活用の重要性も訴えられています。DXが進まない要因をどのように見られますか

 「要因の一つには、経営者の高齢化が挙げられるでしょう。日本の企業数の99.7%を占める中小企業の社長の平均年齢は、いまや70歳近い。若い年齢層の経営者はしっかりと勉強をしているのですが、大半の経営者はデジタル技術に慣れ親しんでいない年代の人たちなのです。さらに、デジタル技術に詳しい人材を採用しようとしても、彼らは中小企業や商工業者に就職しようとは考えません。たとえ、経営者がDXを進めたいと考えていても、必要な人材が採れないというのが現状です。そのためにDXが遅れ、結果として大手企業との生産性格差がどんどん広がっています」

 --私は、中小企業がデジタル技術を難しく捉え過ぎていることも要因だと考えています。デジタル技術を扱う人材は、大きく“作る人”と“使う人”の2種類に分けられますが、実は中小企業に必要なのは“使う人”だけである場合も多い。“作る人”というのは、AI開発を例にあげれば、より高い精度が出るようなアルゴリズムを新たに開発したり、既存のアルゴリズムを応用してモデルを作ったりする人材を指しています。GAFAなどに高給で引き抜かれるのは、このような人材です。一方、“使う人”というのは、ユーザー各社でデータを整備したり、現場の課題を吸い上げて企画を立案したりする人材を指しています。確かに、“作る人”はなかなか中小企業には入ってこないでしょう。ただ、いまは彼らのアウトプットを代替できるようなツール類が数多く提供されています。これらをうまく活用すれば、中小企業は“使う人”だけを育成することでDXが実現できます。彼らは、ある程度のデジタルリテラシーと、新しいものを試してみようというマインドさえあれば自然に育っていきます。このようなリテラシーやマインドを醸成できさえすれば、さほど難しいことはありません

 「昔と違って、オープンソースソフトウエアやクラウドサービスがありますから、確かに自社で一から開発する必要はありませんね。中小企業の経営者に、デジタル技術は身近なものだということをもっと認識してもらえるといいですね」

 --そうですね。これらの技術は確実に社会のインフラになっていきます。「最近AIがはやっているから、ウチもこのツールを入れてみよう」というような一過性の話ではありません。いわば、ビジネスをもっと強くするため、顧客により大きな価値を提供するための土台となるものです。これは何としても社内の人材で扱えなければなりません

 「もう一つ大事なのは、今後、日本の人口が大きく減っていくことですね。この環境下では、デジタル技術を活用しなければ企業経営が成り立たなくなっていきます。特に、IoT(モノのインターネット)を人に代えて活用すれば、業務の生産性はどんどん上げられる。日本はソフトウエアの分野では出遅れてしまったけれど、ハードウエアの強みを生かせるIoTの領域なら日本企業が世界を制することも十分に可能だと思います。人手不足が深刻な中小企業にとって、IoTは必要不可欠です。さらに、そこからビッグデータ化とか、AI化が進みますから、システムの供給や人材育成といった面で後押しをするわれわれのような企業の役割が重要になってくると思います」

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