◆企業は社会の公器
--今、世界を見渡しても、先端のデジタル技術を駆使したビジネスを行っているのはわれわれ含めて若い企業が多い印象です。大久保会長も25歳で若くして起業されましたが、われわれのような若い世代の経営者へアドバイスをいただけますか
「日本社会を活性化するためには、もっともっと企業の新陳代謝を激しくして、イノベーションを起こしてもらう必要があります。なので、デジタル関係を中心に若い経営者がどんどん出てきてほしいと思います。ただ、企業には社会的責任があります。国を支えるための納税と経済を支えるための雇用という2つの義務のことです。企業は社会の公器ですから、いくら若くても経営者である以上は公人なのです。イノベーションを起こすことにたけているだけでなく、起業した以上は、その企業を存続させることにも意識を傾注してほしいですね」
--企業を存続させる秘訣(ひけつ)は何でしょうか
「第一に、社員とその家族、顧客、株主、取引先といったステークホルダー全員を幸せにすることです。私は“社中分配”と言っていますが、それをしないと経営は長続きしません。誤解を恐れずに言うと、企業にとって利益は手段であって、目的ではないのです。良い技術・サービスで社会に貢献しよう、社員を幸せにしようということが目的であり、それを達成するためには利益を出す必要があるということです。株主を最重要視する株主資本主義というのも、長期投資を阻害する面もあるし、会社というものの本質を間違えていると思う。私は“公益資本主義”と呼んでいますが、企業は公益的な考えを持ったうえで利潤を求めるべきです」
【プロフィル】大久保秀夫
おおくぼ・ひでお 国学院大法卒。アパレル関係企業、外資系英会話教材販売会社を経て1980年、25歳で新日本工販(現フォーバル)を設立、代表取締役に就任。88年、創業後8年2カ月という日本最短記録で史上最年少(いずれも当時)の若さで店頭登録銘柄(現JASDAQ)に株式公開。2010年、代表取締役会長に就任。会長職の傍ら、講演・執筆、国内外を問わずさまざまな社会活動に取り組む。カンボジアにおける高度人材の育成を支援する「公益財団法人CIESF(シーセフ)」理事長、NPO法人元気な日本をつくる会理事長、一般社団法人公益資本主義推進協議会代表理事、東京商工会議所副会頭・中小企業委員会委員長なども務める。65歳、東京都生まれ。
【プロフィル】安田光希
やすだ・こうき STANDARD代表取締役。灘中時代に株式投資に興味を持ち、世界的なヘッジファンドの創業者、レイ・ダリオ氏の影響で機械学習の世界へ。メガベンチャーで事業立ち上げを経験し2017年8月株式会社STANDARD設立。現在大手企業を中心に350社以上のDX推進・AI活用に関わる。