マネジメント新時代

ハンコ文化・社会の終わりの始まり 残る分野はどこか (1/2ページ)

 普段何気なく使っている印鑑(ハンコ)に逆風が吹いている。在宅でのテレワークが増加するに伴い、押印するために出社しなければならない、さらには今回の新型コロナウイルス感染症支援策の書類に押印が要るなど、日本の社会が多くのハンコを求めているためだ。今回はこれについて考えてみたい。(日本電動化研究所代表取締役・和田憲一郎)

 あふれる押印業務

 思い返せば、2019年末の国際ロボット展では、ハンコ押印ロボットが展示されていた。ハンコをなくすのではなく、ハンコ押印作業にロボットを活用しようとした発想に苦笑したものである。筆者の勝手な考えでは、日本人はハンコ好きではないかと思えてならない。例えば、実社会では実印、銀行印、角印などがあり、周囲に押印業務があふれているといっても過言ではない。まさにハンコ押印ロボットが必要とされるゆえんである。

 また企業内では、通常のハンコ以外に、日付付きゴム印を活用しているところも多い。自分が承認したことを表すため、日付付きゴム印には、名字、年月日、さらには役職名などが彫られている。それを見ることにより、誰がいつ書類を承認したかが分かる。とにかく、書類とハンコはセットとなっている。

 さらに、最近ではインターネットによる電子認証が普及し、自分が承認すると、上位の人を指定し、ウェブで承認うかがいを出す方法も発達している。これは承認ステップの一つであり、承認したがどうかが分かるだけで良いと思われるが、この電子認証にも、丸形のハンコにこだわる人も多いと聞く。やはりハンコ好きな人が多いのであろうか。

 セキュリティー問題

 少し調べてみると、ハンコというより「印」は奈良時代に中国から入ってきたようだ。多くの書物などと一緒に日本に伝わったといわれている。ただし、印を使用できるのは、天皇、貴族など厳しく制限されていたとのこと。その後、戦国時代になると、武士などによる花押が流行した。織田信長、豊臣秀吉などの花押は有名である。

 その後、江戸時代では簡易な印は使用されていたものの、登録制度による公的な裏付けが開始されたのは1871年(明治4年)の太政官布告第456号「諸品売買取引心得方定書」が最初とのこと。登録的なものは、長いようで実は150年ほどの歴史である。

 さて、現在、契約書などで印鑑が使われるのは、日本と、台湾、韓国だけのこと。現在の中国では、一般に印鑑は使用されておらず、基本的にサインでOKである。ただし、本人であることを証明するために、「字跡公証処」という組織もあるようだ。また、企業印などは今も存在しており、政府との契約にはサインと企業印の両方が必要となる場合が多いという。

 日本の実印および印鑑登録制度とかなり異なっていることが分かる。

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