高論卓説

外出自粛で高まるeスポーツ人気 五輪スポンサーも関心

 五輪スポンサーが関心、正式種目も視野

 新型コロナウイルス感染症による「不要不急」の外出自粛が首都圏を中心に続く中、静かなブームを呼んでいるのが「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)」。「ゲーミングパソコン(PC)」は飛ぶように売れ、「いつまでゲームをしているんだ」と叱っていたお父さんやお母さんが息子や娘と一緒にゲームを楽しむ姿も多くみられるようになっているという。

 eスポーツは、インターネットにつながる電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉で、コンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦をスポーツととらえる際の名称のこと。日本では身体を使ったフィジカル・スポーツだけをスポーツと考えがちだが、海外ではチェスやビリヤードなどのマインド・スポーツもスポーツの一つとして考える文化が古くからある。それだけにeスポーツが登場するや、急速に拡大。今では1億人以上の競技人口を持ち、トッププロは3億円以上を稼ぎだす。

 「体格や体力に関係ありませんから、大人から子供まで楽しむことができる。2019年にスウェーデンで行われたドリームハックというイベントは2万人以上を動員し、三日三晩開催。子供と一緒に参加するお父さんも多く、ノンアルコール、ノンドラッグの健全なイベントだ」。こう語るのはeスポーツに詳しいeスポーツコミュニケーションズ合同会社の筧誠一郎氏だ。

 eスポーツは今や世界中の若者に大人気。日本でも小中高を対象とした「将来なりたい職業アンケート」には1位のユーチューバーに続き、eスポーツ選手が2位につけている。

 「18年暮れにドイツのマクドナルドが(プロサッカーの)ブンデスリーガのメインスポンサーを15年も務めていたが、契約が残っていたにもかかわらず、『若者はサッカーではなくeスポーツにいる』と欧州最大eスポーツリーグのスポンサーになった。若者にマーケティングしたければeスポーツということになり、これが世界の潮流になっている」(筧氏)

 一方でフィジカルスポーツとの融合も進んでいる。FIFA(国際サッカー連盟)は16年前からeワールドカップを主催し、バロンドール(最優秀選手賞)の表彰式で大会の優勝者を一緒に表彰していた時期もあった。18年にジャカルタで行われたアジア競技大会でもeスポーツが公開競技として行われ、22年に公式競技に採用されることが決まっている。このほかにもテニスでは錦織圭選手などがテニスのオンライントーナメントに出場。F1でも「eスポーツ・バーチャル・グランプリ」などが開催されている。

 このような中で今注目されているのが、eスポーツの五輪参加だ。

 「正式種目になるのではないかととりざたされるのは、五輪のトップスポンサー(ゴールドスポンサー)12社のうち米インテル、中国アリババ、韓国サムスン電子の3社がeスポーツに力を入れているからだ。IOC(国際オリンピック委員会)の財源を支えているテレビ局よりも若者にはネットの影響の方が大きくなっていることも追い風になっている」(筧氏)

 eスポーツのトッププレーヤーがひのき舞台に上がるのもそう遠い話ではないようだ。

【プロフィル】松崎隆司

 まつざき・たかし 経済ジャーナリスト。中大法卒。経済専門誌の記者、編集長などを経てフリーに。日本ペンクラブ会員。著書は『東芝崩壊19万人の巨艦企業を沈めた真犯人』など多数。埼玉県出身。

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