高論卓説

不毛な議論続く「9月入学」問題 困難に直面する学生への配慮こそ大切 (2/2ページ)

 日本の教育システムと文化は、世界に誇れるもので自虐的に受け止める必要はない。新緑と桜が美しく、出発、開始するにふさわしいではないか。

 東大の9月入学案は、大学だけの変更。保育園、幼稚園から大学まで変更するとなれば、どれだけの問題点があるか、費用はどうなるか、それらを語らず叫ぶのは無責任だ。文部科学省は9月入学の2案を提示、中身は「変更は無理」と読める否定的な案と映った。

 日本教育学会は、「学習の遅れを取り戻し、学力格差を縮小する効果は期待できない」「制度変更にかかる国、自治体、家計負担は6兆円を超える」とも指摘し、9月入学に反対した。わが国の高等教育機関の7割は私学。制度変更に必要な経費をだれが負担するのか。

 休校とステイホームで学習が遅れ、困難に直面する児童、生徒、学生たち。彼らに学びの保障と、配慮についての議論こそが大切である。「3密」回避を厳守せねばならない現状下、学校運営は危機にひんしているのだから。

【プロフィル】松浪健四郎

 まつなみ・けんしろう 日体大理事長。日体大を経て東ミシガン大留学。日大院博士課程単位取得。学生時代はレスリング選手として全日本学生、全米選手権などのタイトルを獲得。アフガニスタン国立カブール大講師。専大教授から衆院議員3期。外務政務官、文部科学副大臣を歴任。2011年から現職。韓国龍仁大名誉博士。博士。大阪府出身。

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